神さびる(読み)かみさびる

精選版 日本国語大辞典 「神さびる」の意味・読み・例文・類語

かみ‐さ・びる【神さびる】

〘自バ上一〙 かみさ・ぶ 〘自バ上二〙 (「さぶ」は接尾語)
① 神らしく行動する。神にふさわしい振舞いをする。→かんさぶ
② 神々(こうごう)しい様子を呈する。古色を帯びて神秘的な様子である。古めかしくおごそかである。
万葉(8C後)二〇・四三八〇「難波門(なにはと)を漕ぎ出(で)て見れば可美佐夫流(カミサブル)生駒高嶺に雲そたなびく」
太平記(14C後)九「宜禰(きね)が袖振る鈴の音幽(かすか)に聞えて神さびたり」
③ 古風な趣がある。古めかしくなっている。年を経ている。(人間などが)老いている。
古今(905‐914)雑体・一〇二二「いそのかみふりにし恋のかみさびてたたるに我は寝(い)ぞ寝かねつる〈よみ人しらず〉」
源氏(1001‐14頃)藤裏葉「ふる人ども、御前(おまへ)に所得て、かみさびたることども聞え出づ」
④ 古びて閑静なさまを呈する。荒れてさびしい有様になる。
※千里集(894)「神さびてふりにしさとにすむ人は都ににほふ花をだにみず」
日葡辞書(1603‐04)「Camisabita(カミサビタ) スマイ 〈訳〉さびしく静かなすみか」
[補注]「万葉集」では「かむさぶ」がふつうで、「かみさぶ」は挙例唯一の例である。「かみ(神)」の「み」に「美」が用いられるのは上代特殊仮名遣としても異例防人の歌でもあり、東国語形とも考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「神さびる」の意味・読み・例文・類語

かみ‐さ・びる【神さびる】

[動バ上一][文]かみさ・ぶ[バ上二]
古びて神々しく見える。荘厳で神秘的である。かんさびる。「―・びたもり
古びる。年を経ている。かむさぶ。
「をとめごも―・びぬらし天つ袖ふるき世の友よはひ経ぬれば」〈少女

かん‐さ・びる【神さびる】

[動バ上一][文]かんさ・ぶ[バ上二]かみさびる」に同じ。「―・びた古代建築」
[補説]古くは「かむさぶ」と表記

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