神嘉殿(読み)しんかでん

精選版 日本国語大辞典 「神嘉殿」の意味・読み・例文・類語

しんか‐でん【神嘉殿】

〘名〙 平安大内裏中和院(ちゅうかいん)正殿の称。天皇が神をまつるところ。神今食(じんこんじき)新嘗祭などのときに行幸して神事が行なわれた。現在の皇居では皇霊殿の西に南面して建てられており、新嘗祭の時に用いる殿舎で、その時はこの殿上で御遙拝があり、四方拝をその南庭で行なう。
類聚国史‐九・新嘗祭・天長七年(830)一一月辛卯「天皇御神嘉殿。以申如在

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デジタル大辞泉 「神嘉殿」の意味・読み・例文・類語

しんか‐でん【神嘉殿】

平安京大内裏中和院の正殿。天皇が天神地祇ちぎを祭る所。中殿。中院。
皇居内、皇霊殿の西にある建物新嘗祭しんじょうさい神嘗祭かんなめさいが行われ、その南庭では元日四方拝を行う。

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改訂新版 世界大百科事典 「神嘉殿」の意味・わかりやすい解説

神嘉殿 (しんかでん)

平安宮の中院の正殿。中院は中和院(ちゆうかいん)とも称し,内裏の中枢部の内重の西側に位置し,内裏の外重の北西隅に築垣に囲まれた一院を形成する。その内部に正殿の神嘉殿,その南方前面の東・西に東・西舎,北に北殿を配し,神嘉殿は東・西舎とは回廊で,北殿とは渡廊でそれぞれ結ばれる。築垣南面中央には南門(中和門という)を開く。神嘉殿は梁行2間,桁行7間の身舎(もや)の四面に廂(ひさし)をめぐらした東西棟,東・西舎は2間・4間の身舎の西面あるいは東面に廂を付した南北棟,北殿は2間・7間の身舎の東・西・南面に廂を付けた東西棟の建物である。中院では,毎年6月,12月の神今食(じんこんじき),11月の新嘗(にいなめ)祭を行う。両祭は天皇が旧穀あるいは新穀天照大神に供え,みずからも食する重要な祭儀である。中院は804年(延暦23)の史料にみえるから,平安宮創建の際に造営されたものであろう。
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世界大百科事典(旧版)内の神嘉殿の言及

【中和院】より

…天皇が神をまつる場所であり神今食や新嘗祭などにもつかわれた。四面に垣をめぐらし,その中に中殿ないし中院正庁とよばれた神嘉殿の一区画をもっていた。中和院は平安宮について知られているが,平城宮まで遡及するかどうかは文献史料上も発掘調査の上でも不明である。…

※「神嘉殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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