神栖(市)(読み)かみす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「神栖(市)」の意味・わかりやすい解説

神栖(市)
かみす

茨城県南東部に位置する市。鹿島灘(かしまなだ)に面する。2005年(平成17)、鹿島郡神栖町が波崎町(はさきまち)を編入して市制施行、神栖市となった。市域は鹿島灘と利根川にはさまれた平坦な低地鹿島砂丘沖積低地)を占める。北は鹿嶋(かしま)市、西は外浪逆(そとなさか)浦、西から南は利根川を境にして千葉県香取(かとり)市、東庄(とうのしょう)町、銚子市に接する。利根川の北を並行するように、霞ヶ浦(かすみがうら)と北浦(きたうら)を源とする常陸利根川が流れ、当地で利根川に合流する。もとは農漁業を主としていたが、1960年代に霞ヶ浦・北浦の豊富な水資源と、首都圏に近い立地条件に着目した鹿島開発が始まり、工業都市に変貌した。国道124号、鹿島臨海鉄道(貨物)が通じ、銚子大橋、銚子新大橋有料道路(利根かもめ大橋有料道路)などが利根川に架かり千葉県銚子市と結んでいる。

 北浦の放水路として明治期に掘削された堀割(ほりわり)川の河口に、1963年鹿島港が建設される。古くは安是湖(あぜのうみ)ともよばれた神之(ごうの)池の東側は鹿島港の南航路に変わり、1980年(昭和55)までに池の大部分は埋立てられ、市の北部、東部は鹿島臨海工業地帯に造成された。北部は石油コンビナートで、鹿島石油、三菱油化(現、三菱ケミカル)、東京電力鹿島発電所などが進出。また、一帯には住宅団地、商店街の造成、工業用水道事業や国鉄(現、JR)鹿島線の起工、道路網の整備なども行われた。中部の波崎地区は企業進出が遅れたが、近年ダイキン工業、エーザイ、日本化薬などが進出している。南部の農地ではピーマン、メロン、スイカなどの施設園芸、正月用生花のセンリョウ、門松などの栽培が盛ん。また波崎漁港を中心にサバ、アジやオキアミ、イカナゴ漁や水産加工業も行われている。利根川沿岸は水郷筑波国定公園(すいごうつくばこくていこうえん)に属し、海浜部に波崎海水浴場、日川浜(にっかわはま)海水浴場がある。息栖神社(いきすじんじゃ)は鹿島神宮、香取神宮とともに東国三社の一つとされる。面積146.97平方キロメートル、人口9万5454(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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