神義論(読み)しんぎろん(英語表記)theodicy
théodicée[フランス]

精選版 日本国語大辞典 「神義論」の意味・読み・例文・類語

しんぎ‐ろん【神義論】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「神義論」の意味・読み・例文・類語

しんぎ‐ろん【神義論】

弁神論べんしんろん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「神義論」の意味・わかりやすい解説

神義論 (しんぎろん)
theodicy
théodicée[フランス]

ライプニッツが最初に用いた哲学・神学用語。〈弁神論〉ともいい,世界における悪の存在が神の全能と善と正義に矛盾するものでないことを弁証しようとする議論をいう。M.ウェーバーは《古代ユダヤ教》の中で,《創世記》3章の堕罪物語に人類最初の倫理的神義論がみられるというが,神の義(ただ)しさを弁証することは,捕囚によって過去の伝統から断たれたイスラエルに始まるとみるのがやはり適当であろう。《イザヤ書》40章以下で,神が捕囚民の解放のために異教の王を用いることは,イスラエルの神が創造者にして歴史の支配者であればこそ可能で,他の神々にはその力はないと論じられる。しかも神を歴史的救済者としてとらえたところに旧約宗教の特徴があるといえる。神の存在と善を全体的観点や目的の理念に従って論じることはプラトンの《国家》《ティマイオス》《法律》に,またストア学派の哲学にも見いだされる。ライプニッツは三十年戦争後の混乱の中で新・旧両教会の和解につとめ,イデオロギーならざる〈普遍学〉の興隆を企てた人であるが,世界の調和最善原理たる〈神の漸近線〉に支えられていること,また個物の存在は単なる固有性ではなく〈共可能性compossibilité〉に負っていることを説いてオプティミズムを表明した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android