神語(読み)かんがたり

精選版 日本国語大辞典 「神語」の意味・読み・例文・類語

かん‐がたり【神語】

〘名〙 (古くは「かむがたり」とも。「神語歌(かんがたりうた)」の略) 上代歌謡一種。天語部(あまがたりべ)によって伝承された八千矛神(やちほこのかみ)に関する物語歌。「事の語言(かたりごと)も是をば」という終句を持ち、「古事記上巻にある。
※古事記(712)上「此れを神語(かむがたり)と謂ふ」
[補注]「かんごと」と訓む説もある。また、同じ終句を持ち、形式上類似するものに天語歌(あまがたりうた)がある。→天語歌

しん‐ご【神語】

〘名〙
① 神のことば。神のお告げ神託
※続日本紀‐神護景雲三年(769)六月乙卯「詔曰、神語有大中臣、而中臣朝臣清麻呂、両度任神祇官、供奉无失。是以賜姓大中臣朝臣
② 神聖なことば。霊妙なことば。〔徐陵‐麈尾銘〕

かみ‐がたり【神語】

〘名〙 神が人にのりうつって神意を告げること。託宣(たくせん)
※大観本謡曲・巻絹(1537頃)「さもあらたなる。飛行を出だして。神語りするこそ恐ろしけれ」
[補注]「続日本紀‐神護景雲三年六月乙卯」の条に「詔曰、神語有大中臣」とある。

かむ‐がたり【神語】

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デジタル大辞泉 「神語」の意味・読み・例文・類語

しん‐ご【神語】

神の言葉
神聖な言葉。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「神語」の読み・字形・画数・意味

【神語】しんご

お告げ。

字通「神」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の神語の言及

【記紀歌謡】より

…おそらく宮廷において同一の歌が繰り返し誦詠されたことから生じたものであろうか,多様な命名の仕方によっている。たとえば歌の内容・歌詞にもとづくものに〈神語(かむがたり)〉(上記の〈八千矛の神の歌〉),〈思国歌(くにしのびうた)〉〈夷振(ひなぶり)〉〈宮人振(みやびとぶり)〉〈天田振(あまだぶり)〉,歌唱者(集団)にもとづくものに〈久米(くめ)歌〉〈天語(あまがたり)歌〉,歌唱法にもとづくものに〈志都(しず)歌(静歌)〉〈志良宜(しらげ)歌(尻上げ歌)〉,歌の場にもとづくものに〈盞(うき)歌〉〈寿(ほぎ)歌〉〈酒楽(さかくら)の歌〉〈童謡(わざうた)〉などがあげられる。
[内容と特性]
 記紀歌謡の大半は7~8世紀の宮廷のしかるべき機会に誦詠されたもので,個々の歌にはそれ相当の由緒・縁起が伴われていた。…

【八千矛神】より

…武神としての名とみられる。この名は《古事記》にみえ,4首からなる物語的問答歌(〈神語(かむがたり)〉という)の主人公として登場する。武人的英雄神ヤチホコノカミは高志(こし)(越)国の沼河比売(ぬなかわひめ)に求婚する。…

※「神語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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