禄邑(読み)ろくゆう(いふ)

普及版 字通 「禄邑」の読み・字形・画数・意味

【禄邑】ろくゆう(いふ)

知行所。〔説苑、立節〕佛(ふつきつ)、中牟の縣を用(もつ)て(そむ)く。祿邑と炊鼎とを設けて曰く、我に與(くみ)するは邑を受け、我に與せざるは其れ烹(に)んと。~田基獨り後(おく)れて至り、衣を(はら)ひ、將(まさ)に鼎に入らんとす。

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改訂新版 世界大百科事典 「禄邑」の意味・わかりやすい解説

禄邑 (ろくゆう)

朝鮮新羅俸禄制度一種。689年から757年までの間,一時的に廃止されたほかは,新羅の全時期を通じて行われていた。一時廃止されるまでの禄邑は,食邑と同様に,特定の地域に対する一定の支配権を,貴族官僚に与え俸禄としたものであり,旧首長層の領域支配に由来するものと思われる。これに対して復活後の禄邑は,官庁ごとに特定の村落を禄邑に指定し,俸禄等の経費にあてたものであり,官僚個人による固定的な村落支配は許されなかった。しかし,貴族官僚層の恣意的支配を完全に排除することはできず,徐々にその私的勢力基盤に転化していったとみてよい。禄邑は新羅独特の俸禄制度であり,中央集権的官僚制とは相入れない性格のものであった。
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