(読み)ロク

デジタル大辞泉 「禄」の意味・読み・例文・類語

ろく【禄〔祿〕】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ロク(呉)(漢)
神の恵みによる幸運。「天禄福禄
扶持ふち俸給。「禄米加禄高禄爵禄秩禄微禄封禄俸禄無禄余禄
身に備わった重々しさ。「貫禄
[名のり]さち・とし・とみ・よし

ろく【×禄】

官に仕える者に下付される給与律令制ではあしぎぬ・綿・布・くわ・穀物などが身分に応じて与えられたが、後世知行地扶持米ふちまい給金などに変わった。給与。給金。扶持
当座の褒美・贈り物などとして与えられるもの。祝儀。引き出物。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「禄」の意味・わかりやすい解説


ろく

仕官する者に下付される給与。古代においては律令(りつりょう)制に規定された、官人に対する支給で、四、五位の者に与える位禄(いろく)と、在京の文武官人、大宰府(だざいふ)・壱岐(いき)・対馬(つしま)の官人に春夏・秋冬の2回給される季禄(きろく)とがあった。施禄の品にはあしぎぬ、布、綿、鍬(くわ)、糸など手工芸品が主であった。

 近世では一般に俸禄(ほうろく)とよび、将軍・大名から家臣に与えられる蔵米(くらまい)のことをさした。知行地(ちぎょうち)を支給して年貢を収納する地方(じかた)知行制は、高位の家臣のみを対象として少なくなったためである。所領の年貢徴収権は領主が一手に収めて、家臣には知行高に応じて俸禄を支給する蔵米知行制が発達、このため家臣団の財政は、領主の財政に対する依存度が大きくなったが、一方では武士が知行地の支配を気にせず、吏僚として行政の職務に専念できるようになった。

[北原 進]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「禄」の解説


ろく

定期ないし臨時に下付される給付の総称。古代の律令制下では,品階・位階,官職,身分に応じて封戸(ふこ)を賜い,あるいは絁・布・糸・綿・鉄・鍬・庸布・銭・米などを定期的に支給した。禄令に,官職にともなう季禄・職封,品階・位階にともなう品封・位封・位禄,皇族に賜う中宮湯沐(とうもく)・東宮一年雑用料・号禄・皇親時服料,功績を賞する功封を載せるほか,「延喜式」などに馬料・時服・月料・要劇料・番上粮が規定される。また節日に衣服や絹・綿を節禄(せちろく)として賜ったのも,半ば定期給与である。それ以外の臨時・恒例の行事でも,当座で賜禄されることが通例であり,平安時代,被物(かずけもの)として大袿(おおうちき)・細長(ほそなが)や女装束が用いられた。近世では,仕官した者へ支給する俸禄をさした。地方知行に対する蔵米(くらまい)支給のことをいう。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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