禅機図(読み)ぜんきず

百科事典マイペディア 「禅機図」の意味・わかりやすい解説

禅機図【ぜんきず】

禅の悟りの契機を象徴的に表現した禅宗系の人物画。六祖慧能(ろくそえのう)が竹を割り,その音で悟りを開いたという場面を描いた梁楷(りょうかい)の《六祖截竹(せっちく)図》がその代表例で,ほか因陀羅(いんだら)作のもの等が有名。
→関連項目如拙禅宗美術

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「禅機図」の意味・わかりやすい解説

禅機図
ぜんきず

禅の悟りの契機や極意を描き,また人物の所作禅僧応答の機微を象徴的に表現した禅宗独特の絵画。中国,宋,元の水墨画日本の室町時代の水墨画に作例が多い。大別すると,梁楷筆『六祖截竹図』 (東京国立博物館) ,『臨済像』 (義徳院) のように,祖師の所作動作で禅の悟りの契機を示す祖師図,禅僧や散聖の禅機を描出した諸聖図,因陀羅筆『丹霞焼仏図』,伝馬遠筆『清涼法眼禅師像,雲門大師像』 (天竜寺) などのように,師弟間の問答中に発露する禅機を描出した祖会図,馬公顕筆『薬山李こう問答図』 (南禅寺) ,『 龐居士 (ほうこじ) 馬祖問答図』 (天寧寺) などのように,禅僧と俗人の問答のなかに現れた禅機を描いた禅会図に分けられる。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「禅機図」の解説

禅機図
ぜんきず

禅の悟りあるいは禅の修行によって得た心のはたらきを表した絵画。具体的には,禅僧の悟りを開くきっかけとなった体験を描いたものをいうが,広義には,著名な禅僧の行状禅問答の場面を描いたものをさす場合もある。日本では鎌倉時代以降の禅林における絵画の題材として好まれ,主として中国宋元画にならった水墨画が多数制作された。

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