私版(読み)しはん

精選版 日本国語大辞典 「私版」の意味・読み・例文・類語

し‐はん【私版】

〘名〙
民間で出版すること。また、その図書
※読書放浪(1933)〈内田魯庵〉東西愛書趣味の比較「特殊版籍〈略〉a勅版官版〈略〉b私版、非売本」
私人編集、発行する出版物私家版

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「私版」の意味・読み・例文・類語

し‐はん【私版】

著者やその近親者などが、自費で出版すること。また、その書物。私家版。
民間で出版すること。また、その図書。⇔官版

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「私版」の意味・わかりやすい解説

私版
しはん

家刻(かこく)本、私家版、自家版、私刻本ともいい、家塾本、私塾本もある。個人や私塾などが営利を目的としないで自費をもって刊行、多くは出版部数も少なく、限られた範囲の人にだけ配付する書物。江戸時代およびそれ以前における、勅版、官版、藩版、寺院版、町版と区別した称。日本の書物では、1364年(正平19・貞治3)に泉州堺(さかい)の道祐(どうゆう)居士の出版した『論語集解』が古く、角倉素庵(すみのくらそあん)の嵯峨(さが)本(角倉本、光悦本)が名高い。絶版を命ぜられた林子平(しへい)の『海国兵談』(1791刊)も私版である。なかには、とくに料紙、印刷、装丁などを吟味した書物もあって珍重される。現在でも個人が自費をもって出版する遺稿集、追悼集、詩歌集、記念文集などがある。

[柴田光彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android