秉燭(読み)へいしょく

精選版 日本国語大辞典 「秉燭」の意味・読み・例文・類語

へい‐しょく【秉燭】

〘名〙
① 手に灯火を持つこと。
延喜式(927)四六「凡諸節会日若入夜者。令衛士進秉燭。其数十人。若有蕃客者廿人」 〔古詩十九首‐其一五〕
② (燭を秉(と)時刻の意) 火ともしごろ。ゆうがた。ひんそく。へいそく。
小右記‐天元五年(982)正月一日「秉燭出御南殿
平家(13C前)一「秉燭に及で祇園の社へ入奉る」

ひょう‐そく ヒャウ‥【秉燭】

〘名〙 (「ひょう」「そく」はそれぞれ「秉」「燭」の呉音) 灯火器具の一種油皿中央にある舌のようなものに灯心を立てて点火するもの。〔運歩色葉(1548)〕

ひん‐そく【秉燭】

〘名〙 (「ひん」は「秉」の唐宋音。燭を手に秉(と)る意) 灯火をつけるころ。ひともしどき。夕暮。へいしょく。
承久軍物語(1240頃か)一「はいがはひんそくにおよんですることなり」

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デジタル大辞泉 「秉燭」の意味・読み・例文・類語

へい‐しょく【××燭】

《燭をるの意》
手に灯火を持つこと。
火ともしごろ。夕がた。ひんそく。
「―に及んで、祇園ぎをんの社へ入れ奉る」〈平家・一〉

ひん‐そく【××燭】

へいしょく(秉燭)」に同じ。

ひょう‐そく〔ヒヤウ‐〕【××燭】

灯火器具の一。油皿の中央に置いた灯心に火をつけるもの。

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普及版 字通 「秉燭」の読み・字形・画数・意味

【秉燭】へいしよく

燭火をとる。唐・李白春夜、桃李園に宴する序〕(ごと)し、を爲すこと何(いくばく)ぞ。古人燭を秉りて夜ぶ。良(まこと)に以(ゆゑ)るなり。

字通「秉」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の秉燭の言及

【行灯】より

… 行灯の内部には油皿をおき,これにナタネ油などの植物性油をつぎ,灯心を入れて点火したが,この油皿の中の灯心をおさえ,また灯心をかき立てるために,搔立(かきたて)というものが用いられ,これには金属製や陶製の種々な形態のものがあった。また灯心を皿の中央に立てるようにくふうした秉燭(ひようそく)とよぶものが作られたが,これはふつうの油皿よりも火のもちがよく,しかも油が皿裏にまわることもないので,多く掛行灯などに使用された。油皿は古くは路次行灯のように底板におかれたが,小堀遠州が丸行灯を作って以来,火袋の中央に蜘手(くもで)を設けて,ここに油皿をおいたという。…

※「秉燭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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