科学技術教育(読み)かがくぎじゅつきょういく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「科学技術教育」の意味・わかりやすい解説

科学技術教育
かがくぎじゅつきょういく

科学教育技術教育をこえた総合的な科学技術の教育のこと。科学技術という用語は比較的多義に用いられているが,自然科学と技術とを総合的にとらえようとする点では共通している。従来自然科学と技術は,原理的,基礎的研究とその応用部門という関係を保ちながらそれぞれ発達してきたが,産業の多岐化,複雑化,巨大化,進歩の急速化に伴い,技術が科学的研究の成果を待ちきれず技術が同時に研究を担当するとか,技術の開発が先行して科学がその理論づけをするとか,科学研究が技術の成果を研究方法に利用するなどの事態が生じた。これが新しい発想を必要とする背景事情である。このことは教育の領域についても同様で,従来の科学教育,技術教育をこえた総合的な科学技術教育として新しく構想されるようになってきた。特に 1957年のソ連の人工衛星スプートニクの打上げ成功は,世界各国に衝撃を与え,イギリスの「技術教育白書」 (1956) ,アメリカの「国防教育法」 (58) など相次いで科学技術教育改造の方針が策定された。日本でも 57年,中央教育審議会が「科学技術教育の振興方策」について答申し,科学技術者の養成計画,科学技術者の質的向上,学制改革などについて改善方向を示した。

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