秘本玉くしげ(読み)ひほんたまくしげ

精選版 日本国語大辞典 「秘本玉くしげ」の意味・読み・例文・類語

ひほんたまくしげ【秘本玉くしげ】

江戸中期の国学書。二巻二冊。本居宣長著。天明七年(一七八七成立。紀伊藩主、徳川治貞に、別巻玉くしげ」とともに献上された、古道による政治論。時弊を具体的に指摘し、為政者心構えを説く。内容が現実政治にかかわるため、宣長は生前本書刊行を許さなかった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「秘本玉くしげ」の解説

秘本玉くしげ
ひほんたまくしげ

本居宣長(もとおりのりなが)が和歌山藩主徳川治貞(はるさだ)に上呈した,古道論に立脚した政教論。「玉くしげ」別巻と同時に献上された。1787年(天明7)成稿。天明の飢饉を背景に,主君以下,家中に至る武家奢侈を戒めて,分際を守るべきことをいい,武家の本分を重んじつつも,役用の少ない家中には農作を勧める。当時横行した強訴一揆については,為政者の責任を問い,町人の富裕犠牲にしてでも農民困窮を救うべき仁政の実践を提訴する。「岩波文庫」「本居宣長全集」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「秘本玉くしげ」の解説

秘本玉くしげ
ひほんたまくしげ

江戸後期,国学者本居宣長の著書
1787年完成。2巻。紀伊藩主徳川治貞の諮問に応え,政治・経済百姓一揆についての自己の思想を述べたもの。

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