秦皇島(読み)しんこうとう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「秦皇島」の意味・わかりやすい解説

秦皇島
しんこうとう / チンホワンタオ

中国河北(かほく)省東端の地級市。東は遼寧(りょうねい)省に接する。山海関(さんかいかん)区など4市轄区、2県、1自治県を管轄する(2016年時点)。人口295万1000(2014)。市名の由来は、秦の始皇帝が駐屯したという伝説による。燕山(えんざん)山地が海に迫り、華北と東北の自然の境界をなし、明(みん)代に山海関が置かれ北方防衛の要衝とされ、万里長城の東の起点となった。また海岸は冬季にも凍結しないため、清(しん)代に貿易港が開かれ、隣接する唐山(とうざん)市の石炭が輸出された。いまは東北の大慶(たいけい)油田からパイプラインが引かれ、石油の積出し港になるとともに、機械、建築材料工業が発達している。1984年には国務院(日本の内閣にあたる)により沿海対外開放14都市の一つに指定された。京哈(けいは)線、津秦高速鉄道(天津(てんしん)―秦皇島)など6本の鉄道が通る。市の南西の北戴河(ほくたいが)海岸は、中華人民共和国の成立前から外国人の避暑地として開発され、現在も保養観光地として有名。

[秋山元秀・編集部 2017年3月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「秦皇島」の意味・わかりやすい解説

秦皇島 (しんのうとう)
Qín huáng dǎo

中国,河北省北東端の市。人口82万(2000)。伝説では始皇帝あるいは唐の太宗の駐(ちゆうひつ)の地とされるが信をおきがたい。清末まで澡塘子と呼ばれる渤海沿岸の一寒村だったが,水深6mの天然良港で,冬も凍結しないので,1898年(光緒24)列強により開港場とされ,開灤炭(かいらんたん)の積出港となった。1949年市制施行。海港,北戴河,山海関の3区を包含する。港は石炭のほか,パイプラインで送られてくる大慶の石油の積出港でもある。北戴河は海水浴場で,保養地として知られ,山海関は万里の長城の起点。機械,鉄橋製造,ガラス,耐火材料等の工場がある。
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百科事典マイペディア 「秦皇島」の意味・わかりやすい解説

秦皇島【しんのうとう】

中国,河北省北部,山海関南方にある都市。天然の良港で不凍港。京哈線(北京〜ハルビン)に沿う。開【らん】(かいらん)炭などの輸出港で,築港は1925年完成した。セメントなどの工業のほか商業も盛んである。市南西の北戴河は保養・避暑地として有名。89万人(2014)。
→関連項目中華人民共和国

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