秩父三十三所(読み)ちちぶさんじゅうさんしょ

精選版 日本国語大辞典 「秩父三十三所」の意味・読み・例文・類語

ちちぶ‐さんじゅうさんしょ ‥サンジフサンショ【秩父三十三所】

〘名〙 埼玉県秩父地方にある観音霊場西国三十三所にならってよばれているが実は三十四か所あり、西国三十三所・坂東三十三所と合わせて、百観音と称する。秩父三十三番。

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デジタル大辞泉 「秩父三十三所」の意味・読み・例文・類語

ちちぶ‐さんじゅうさんしょ〔‐サンジフサンシヨ〕【秩父三十三所】

秩父地方にある33か所の観音霊場。実際には34あり、西国さいごく坂東ばんどうの各三十三所と合わせて百観音とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秩父三十三所」の意味・わかりやすい解説

秩父三十三所
ちちぶさんじゅうさんしょ

埼玉県秩父郡にある33か所の観音(かんのん)霊場。秩父三十三番ともいう。西国(さいごく)三十三所、坂東(ばんどう)三十三所に倣った観音霊場であるが、西国・坂東とあわせて日本百観音となるため1か寺を増やし、実際には34か所となった。その成立は室町時代で、当時秩父地方に勢力を伸ばしていたのが曹洞(そうとう)宗であったため、この宗派の寺が札所(ふだしょ)の過半数を占めている。32番法性(ほうしょう)寺には1488年(長享2)の札所番付が伝わっており、この番付には、1番定林(じょうりん)寺に始まり33番水込寺に至る33か所が記され、巡路も現行のものとは異なっている。のち1か所(2番真福(しんぷく)寺)が加えられたが、1536年(天文5)の納札に、西国、坂東、秩父百か所巡礼の記録があるところから、このころまでには秩父の札所は34か所になっていたことが知られる。

 江戸時代には、江戸からの巡礼が多くなり、また江戸市民の要望もあって出開帳(でがいちょう)が行われた。出開帳は、当初甲子(きのえね)の年に行われたが、江戸後期にはしばしば行われるようになった。1番札所の妙音寺から34番の水潜(すいせん)寺に至る34か所を巡れば約90キロメートル、徒歩で4泊5日ほどの行程である。

[平井俊榮]

『『秩父札所の今昔』(1968・同書刊行会)』『平幡良雄著『秩父三十四カ所』(1968・札所研究会)』

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