秩父神社(読み)ちちぶじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「秩父神社」の意味・読み・例文・類語

ちちぶ‐じんじゃ【秩父神社】

埼玉県秩父市番場町にある神社。旧国幣小社。祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)、知知夫彦命(ちちぶひこのみこと)ほか二柱。一二月三日の例祭は秩父夜祭の名で知られ、日本三大山車祭の一つ。秩父妙見様。

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デジタル大辞泉 「秩父神社」の意味・読み・例文・類語

ちちぶ‐じんじゃ【秩父神社】

埼玉県秩父市にある神社。祭神は八意思兼命やごころおもいかねのみこと知知夫彦命ちちぶひこのみことほか。毎年12月3日には秩父夜祭が行われる。

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日本歴史地名大系 「秩父神社」の解説

秩父神社
ちちぶじんじや

[現在地名]秩父市番場町

江戸時代の大宮郷のほぼ中央部、武甲ぶこう(妙見山ともいう)の北西麓に鎮座する。「風土記稿」には妙見社とみえ、「社地一万千四百八十四坪是ヲ柞ノ森ト称ス杉檜槻ノ大木多ク繁茂シ古社ノ様思ヒ知ラル」とある。秩父郡の総鎮守で旧国幣小社。祭神は八意思兼命・知知夫彦命・天御中主命・秩父宮雍仁親王。神社の前身は、国造知々夫氏が崇神朝にその祖八意思兼命を祀ったと伝えられる(先代旧事本紀)。当社縁起には、江戸初期の神道学者吉川惟足が寛文一一年(一六七一)に著した「鎮座縁起」、万治二年(一六五九)に伊勢神宮祠官で神道学者の荒木田成近が著した「鎮座以来」などもあるが、享和二年(一八〇二)源山寿が著した社伝(社蔵)によると、初代国造の知知夫彦命から九代目の子孫にあたる狭手男臣が、允恭天皇の勅令を受けて御祖の御璽を葉葉染ははその社に祀ったとしている。

〔古代・中世〕

秩父神社が文献に登場するのは「日本三代実録」貞観四年(八六二)七月二一日条で、「武蔵国正五位下勲七等秩父神」とみえ、同神に正五位上が授けられている。さらに同一三年一一月一〇日には従四位下、元慶二年(八七八)一二月八日には正四位下と神階を昇叙している(同書)。「延喜式」神名帳には秩父郡の小社として社名がみえる。平安時代中期に妙見信仰が導入され、当社は近世に至るまで「妙見社」「妙見宮」と称された。「風土記稿」には天慶年中(九三八―九四七)に村岡五郎平良文が平将門と下野国で合戦中に奇瑞があったので、里老を招いて問うたところ、上野国群馬郡花園はなぞの(現群馬県群馬町)妙見菩薩の霊場があることを聞き、それを秩父へ勧請したと伝える。平良文の孫将恒(将常)が秩父氏を称し、平安時代後期まで郡内に居住した。その後、丹党の勢力が郡域に広がり、当神社は秩父丹党が信仰した。そして中村なかむら郷の領主中村氏が宮本地頭として、同社の造営を差配していた。しかし、それは中村氏が独自に行うのではなく、関東御分国である武蔵国の国務を支配していた北条得宗家が留守所(目代)を通して宮本に命令していたのである(徳治三年一月二六日「山下政所文書目録案」秩父神社文書ほか)

一四世紀初頭、社殿の造営が行われたが、正和二年(一三一三)の秩父社造営時之申状具書等次第案(秩父神社文書)によると、秩父神社造営の際は、材木・番匠の作料、遷宮の際の神事祭礼の流鏑馬役などは、秩父郡内の地頭が頭役で勤めるのが例であった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秩父神社」の意味・わかりやすい解説

秩父神社
ちちぶじんじゃ

埼玉県秩父市に鎮座。延喜(えんぎ)式内社、旧国幣小社。もと秩父妙見(みょうけん)とも称す。荒川上流の秩父盆地中央のもと大宮郷(おおみやごう)と称した市街地に位置し、社殿は当地の名峰武甲(ぶこう)山(1336メートル)を望んで南面する。祭神には、初代国造知知夫彦命(くにのみやつこちちぶひこのみこと)とその祖、八意思兼(やごころおもひかね)神および天之御中主(あめのみなかぬし)神を配祀(はいし)し、秩父宮雍仁(やすひと)親王の御霊(みたま)を合祭する。例祭では12月3日の通称秩父夜祭(よまつり)が有名で、武甲山を望む御旅所(おたびしょ)への神幸と献灯、山車供奉(だしぐぶ)が行われる。当社付属の秩父神楽(かぐら)とともに重要無形民俗文化財。特殊神事に4月4日の御田植祭がある。

[薗田 稔]


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改訂新版 世界大百科事典 「秩父神社」の意味・わかりやすい解説

秩父神社 (ちちぶじんじゃ)

埼玉県秩父市に鎮座する同地方総鎮守の古社。延喜式内社,旧国幣小社。武蔵国成立以前の知知夫(ちちぶ)国の初代国造知知夫彦命が,崇神朝にその神祖八意思金(やごころおもいかね)神をまつったのに始まると伝える。関東武士団の一流秩父氏が奉じた北辰妙見菩薩の信仰と習合以来,中・近世を通じ武家の武運守護,庶民の産育,養蚕の神として信仰を集めた。古伝神事に田植祭(4月3日),川瀬祭(7月20日)があり,12月3日の例大祭は秩父夜祭として有名。
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百科事典マイペディア 「秩父神社」の意味・わかりやすい解説

秩父神社【ちちぶじんじゃ】

秩父市番場町に鎮座。旧国幣小社。八意思金(やごころおもいかね)命・知知夫彦(ちちぶひこ)命をまつる。知知夫国造(くにのみやつこ)がその祖神をまつったもの。延喜式内社とされる。例祭は12月3日で,秩父の夜祭(山車(だし)と花火)として有名。ほか4月の祈年祭には御田植神事がある。
→関連項目秩父[市]秩父夜祭

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デジタル大辞泉プラス 「秩父神社」の解説

秩父神社

埼玉県秩父市にある神社。祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)、知知夫彦命(ちちぶひこのみこと)、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、秩父宮雍仁(やすひと)親王。12月の例祭は「秩父夜祭」として知られ、国の重要無形民俗文化財に指定。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秩父神社」の意味・わかりやすい解説

秩父神社
ちちぶじんじゃ

埼玉県秩父市番場町に鎮座する元国幣小社。祭神はヤココロオモイカネノカミ,チチブヒコノミコト,アメノミナカヌシノカミ。例祭は 12月3日で,「秩父夜祭」として知られる。養蚕と産育の守護神として崇敬される。

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世界大百科事典(旧版)内の秩父神社の言及

【秩父夜祭】より

…埼玉県秩父市の秩父神社で12月3日に行われる祭礼。前日に鎌倉時代からの伝承という神馬(しんめ)の奉納があり,古くはその馬の毛色により豊凶を占ったという。…

※「秩父神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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