秩禄公債(読み)チツロクコウサイ

デジタル大辞泉 「秩禄公債」の意味・読み・例文・類語

ちつろく‐こうさい【秩×禄公債】

明治6年(1873)から同8年までに秩禄を奉還した士族に交付された公債

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秩禄公債」の意味・わかりやすい解説

秩禄公債
ちつろくこうさい

廃藩置県後,維新政府が授産目的で士族に貸付けた公債。 1873年 12月に家禄賞典禄を返還した 100石未満 (のちに 100石以上にも適用) の士族に対し,禄高に応じ,永世禄として6ヵ年分,終身禄として4ヵ年分を現金公債証書に折半して支給する布告が出された。公債は3ヵ年据置きで8分利付,7ヵ年で償還する条件で,1600万円余が発行された。金禄公債交付への前段階的処置であった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「秩禄公債」の解説

秩禄公債
ちつろくこうさい

明治初年に家禄・賞典禄奉還者に交付した国債。1874年(明治7)制定の家禄引換公債証書発行条例にもとづく。年利8%,償還期限9年。73年に家禄税とともに家禄奉還制度が実施され,奉還希望者に対し授産資金として永世禄は6年分,終身禄は4年分,年限禄年限に応じ1.5~4年分の禄高を石代相場で換算し,約半分を秩禄公債で支給した。74年から公債発行を開始したが,75年に奉還制度廃止のため,翌年発行を停止。3年間に約14万人に対して額面1656万円の公債を交付し,84年までに償還を終了。

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旺文社日本史事典 三訂版 「秩禄公債」の解説

秩禄公債
ちつろくこうさい

1873(明治6)年,秩禄(家禄と賞典禄)を奉還した士族に与えた公債
政府は秩禄処分の前段階として秩禄奉還を願う士族に,永世禄は6か年分,終身禄は4か年分の秩禄に相当する金額を,100石未満は半額を現金,半額を公債,100石以上は50石を現金,残りを公債で支給することにした。本公債は利率8%で,3か年間据置きののち,7か年間に償還。

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世界大百科事典(旧版)内の秩禄公債の言及

【交付公債】より

…これは国の支払いの手段であって,国の収入とはならない。日本では,明治初期,財政基盤が確立していなかった維新政府が発行した金禄公債や秩禄公債(秩禄処分)をはじめとして,戦費調達や恐慌救済等のため発行された事例は多い。第2次大戦後も農地改革のときに旧地主に交付された農地被買収者国庫債券(農地証券),戦没者の妻に交付された特別給付金国庫債券(遺族国債)などが発行されている。…

【秩禄処分】より

…家禄税(華士族禄税則)は,家禄5石以上の者を対象とし禄税を335段階に細分し,上層ほど高率の累進税を課すものであった。家禄奉還制度(〈家禄奉還ノ者ヘ資金被下方規則〉)は,禄高100石未満の者が家禄奉還を望むときは,希望者に家禄6年分(終身禄は4年分)を半分は現金,半分は年8分の秩禄公債で一時に下付するもので,秩禄公債は3年目から償還し,7年間で完済する計画であった。また,この資金・公債で官林荒蕪地(かんりんこうぶち)の半価払下げをうけ帰農できるよう,〈産業資本ノ為メ官林荒蕪地払下規則〉を同時に制定した。…

※「秩禄公債」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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