稗粒腫(読み)はいりゅうしゅ(英語表記)Milium

六訂版 家庭医学大全科 「稗粒腫」の解説

稗粒腫
はいりゅうしゅ
Milium
(皮膚の病気)

どんな病気か

 皮膚の表面付近にできる直径1~2㎜以内の角質(かくしつ)が入った袋です。顔面にしばしば発生し、白色の小さな粒のように見えます。

原因は何か

 毛穴の奥にある毛包(もうほう)という袋や、皮脂をつくる腺の未発達なものに角質がたまって生じます。また、皮膚がはがれるような疾患や傷の治ったあとにできるものは、汗を出す管の再生過程で管の先端がふさがって生じたものです。

症状の現れ方

 特別な原因がなく発生する原発性(げんぱつせい)稗粒腫と、皮膚がはがれるような疾患や皮膚を(けず)り取る手術後などに生じる続発性(ぞくはつせい)稗粒腫があります。

 原発性稗粒腫は小児や若い女性の顔面にみられます。いずれのタイプも、見た目は同じであり、直径1~2㎜以内の半球状に隆起した、白色のしこりです(図76)。

検査と診断

 見た目だけで診断できるので、検査は必要ありません。

治療の方法

 注射針の先などで皮膚を小さく切り開いて、内容である白色の球状物を押し出すか、あるいは針先を使って取り除きます。

病気に気づいたらどうする

 放っておいて問題ありません。気になって取り除きたい場合には、皮膚科を受診してください。

田村 敦志


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「稗粒腫」の解説

はいりゅうしゅ【稗粒腫 Milium】

[どんな病気か]
 成人女性の顔面、とくに眼瞼がんけん)(まぶた)にみられる、直径1mm程度の少し隆起した腫瘍(しゅよう)です。他の皮膚疾患で、皮膚にびらん水疱すいほう)ができた後などに、できることがあります。角質(かくしつ)がたまった小さな袋状の組織が、皮膚表面近くにできているため、白くみえます。
[治療]
 腫瘍は、皮膚の浅いところにあるため、針で小さく切り開き、内部の角質物質をピンセットでつまんで取り出します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「稗粒腫」の意味・わかりやすい解説

稗粒腫
ひりゅうしゅ
milium

眼瞼 (まぶた) ,特に下眼瞼部に散発する粟粒大ぐらいまでの丘疹状皮疹。白黄色でこりこりと硬く,角質を内容とする。胎生期上皮胚の母斑性過誤腫とみなされる。天疱瘡,類天疱瘡,ジューリング疱疹状皮膚炎先天性表皮水疱症,熱傷治癒後などに同様のものが現れることがあり,これを続発性稗粒腫という。

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