種無果実(読み)たねなしかじつ(英語表記)seedless fruit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「種無果実」の意味・わかりやすい解説

種無果実
たねなしかじつ
seedless fruit

単為結果によって生じた種子のない果実のこと。受精しないでも果実を形成する現象を単為結果というが,この果実にはだいたい種子がない。自然的に単為結果を起す傾向の強いものに,かきバナナ,いちじく,パイナップル,みかん類があるが,単為結果を人工的に誘起して種無果実をつくる方法が,果実の商品的価値を高めるために研究され,実用化されている。三倍体植物の単為結果しやすい性質を利用したものに種無型すいかがある。また生長調節剤による単為結果には,ぶどうに対するジベレリン処理があり,これによって開花を早め,胚嚢が未完成のままで開花し,なんらかの理由で花粉管珠心への侵入が妨げられ受精しない。

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百科事典マイペディア 「種無果実」の意味・わかりやすい解説

種無果実【たねなしかじつ】

種子ができずに発達した果実。種子が発育しないのに果実のみが発育する現象を単為結果または単為結実といい,種無果実が生ずる。自然状態ではバナナ,パイナップル,リンゴ,ミカンなどにその例がある。人為的には交雑育種によるものと生長ホルモン処理によるものとがあり,種無しスイカは前者,種無しブドウは後者の例。

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