稲積む(読み)いねつむ

精選版 日本国語大辞典 「稲積む」の意味・読み・例文・類語

いね【稲】 積(つ)

① 刈り取った稲を重ねて置く。また、舟や車に載せる。《季・秋》
袖中抄(1185‐87頃)一二「いなふねとはいねつみたる舟を云也」
② (「積む」は稲の縁語) 正月に用いられた忌みことばで、寝るの意。稲納む。⇔稲挙ぐる。《季・新年》
※俳諧・山の井(1648)春「正月は〈略〉朝夕のねつおきつをもいねつむ、いねおさむなどいひ」
[補注](②について) 大晦日の晩は寝ずに忌みこもっていることを原則とする習俗に基づき、「寝る」ということばを使うことまで忌んだ。一説に「寝(い)ね伏す」が病気を連想させるので避けた〔類黔名物考・大言海〕ともいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「稲積む」の意味・読み・例文・類語

いね‐つ・む【稲積む】

[動マ四]《動詞「い(寝)ぬ」(下二)の連用形「いね」に掛けて、正月に用いる忌み詞》寝る。 新年》稲挙ぐ
「ちゃうど元日を待つ心地…、ちっとの間―・まう」〈浄・妹背山

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android