積聚(読み)シャクジュ

デジタル大辞泉 「積聚」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐じゅ【×聚】

さしこみ。また、癇癪かんしゃくしゃく
腫物、―ははりをさす」〈仮・尤の双紙

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精選版 日本国語大辞典 「積聚」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐じゅ【積聚】

〘名〙
腹部胸部に起こる激痛。癪(しゃく)。さしこみ。また、癇癪(かんしゃく)。しゃくじゅう。〔亀田本下学集(室町中‐末)〕
浄瑠璃源平布引滝(1749)三「察する所葵御前も常に積聚(シャクジュ)の愁有って」
② (skhanda の訳語) 仏語。積み集めること。また、積み集めて一つになったもの。仏教では、五蘊など法の集合体としての存在説明・解釈する語。聚積とも。〔往生要集(984‐985)〕
正法眼蔵(1231‐53)自証三昧「いはんや自証の言をききて、積聚の五蘊ならんと計せば、小乗の自調に同ぜん」
③ (━する) =しゃくじゅう(積聚)
私聚百因縁集(1257)一「銅棺を以て棺の中に内(いれ)よ、香薪積聚(シャクジュ)して、闍維を用いよ」

しゃく‐じゅう【積聚・積集ジフ

〘名〙
① つもって集まること。また、つみかさねてあつめること。かたまること。しゃくじゅ。せきしゅう。
太平記(14C後)二四「但貪財物積集(シャクシフ)散」
② =しゃくじゅ(積聚)①〔日葡辞書(1603‐04)〕

せき‐しゅう【積聚・積集シフ

〘名〙 物体などが、つもってあつまること。また、つみ重ねてあつめること。かたまること。また、そのもの。せきしゅ。
本朝麗藻(1010か)下・贈心公古調詩〈具平親王〉「貪欲所積集、銭帛似雲屯
※報恩録(1474)上「駟馬車は一大蔵教積聚する車の事也」 〔礼記月令

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普及版 字通 「積聚」の読み・字形・画数・意味

【積聚】せきしゆう

ものをたくわえる。〔韓非子、説林上〕衞人(ゑいひと)、其の子を嫁せしむ。之れにへて曰く、必ず私(ひそ)かに積聚せよ。人のと爲りて、出ださるるは常なり。其の居をすは幸ひなりと。其の子、因りて私かに積聚す。其の姑、以て私すること多しと爲して、之れを出す。

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世界大百科事典(旧版)内の積聚の言及

【癪】より

…近代以前の日本の病名で,当時の医学水準でははっきり診別できないまま,疼痛のともなう内科疾患が,一つの症候群のように一括されて呼ばれていた俗称の一つ。単に〈積(せき)〉とも,〈積聚(しやくじゆ)〉ともいわれ,また疝気と結んで〈疝癪〉ともいわれた。平安時代の《医心方》では,陰陽の気が内臓の一部に集積して腫塊をなし,種々の症状を発すると説かれ,内臓に気が積んで腫瘤のようなものができて発症すると考えられ,癪には日本人に多い胃癌(がん)などもあったと思われる。…

【癌】より

…しかし今日環境癌あるいは職業癌と呼んでいる癌について,その発癌の経緯を正確につきとめたのは,ロンドンのセント・バーソロミュー病院の外科医P.ポットであった。 日本では,江戸時代に癪(しやく)・積聚と呼ばれた内科疾患に,胃癌のような悪性腫瘍が含まれていたと思われる。膈噎(かくいつ)といわれた食道狭窄症には食道癌もあったし,舌疽(ぜつそ)といわれたものはほとんどが舌癌であったと思われるが,江戸時代にもはっきり認識されていたのは,華岡青洲の麻酔手術で名高い乳癌であった。…

※「積聚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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