窒素酸化物汚染(読み)ちっそさんかぶつおせん(英語表記)pollution by nitrogen oxides

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「窒素酸化物汚染」の意味・わかりやすい解説

窒素酸化物汚染
ちっそさんかぶつおせん
pollution by nitrogen oxides

窒素酸化物による大気汚染。問題となるのは石油などの燃焼に伴って発生する一酸化窒素 NO二酸化窒素 NO2 で,発生源は自動車,暖房用ボイラ,火力発電所溶鉱炉,金属製錬などである。発生機構は,高温燃焼に伴い空気中の N2 が O2 と化合して主として NO を発生させるものと,石油などの燃料中に含まれているピリジン,キノリンなどの窒素酸化物が主として NO になるものとがある。後者がより低温で NO に転換し,しかも転換率も高いとされる。発生時は NO が約 95%,NO2 が約5%であるが,NO は空気中で酸化されて NO2 へ変わり,環境中ではほぼ半々であるとされる。発生寄与率は一般的に自動車など移動発生源約 40%,工場など固定発生源約 60%とされるが,典型的大都市である東京都では,移動発生源が約 80%を占めている。対策として,NO2 の環境基準を1時間値の1日平均値が 0.04ppmから 0.06ppmまでのゾーン内,またはそれ以下としている (1978年改定緩和) 。また大気汚染防止法では,有害物質として,工場などの排出規制基準を定める。自動車も,ガソリン乗用車は 1978年度製造車から 0.25 g/km 以下に排出規制を受けた。対策の遅れたトラック,バスについても,その規制値が段階的に厳しくなるとともにメタノール自動車,ハイブリッド車など新たな低公害トラック,バスが登場してきた。

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