窮理(読み)キュウリ

デジタル大辞泉 「窮理」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐り〔キユウ‐|キウ‐〕【窮理/究理】

物事道理法則を明らかにすること。
小力がっして大力とするの―」〈魯文安愚楽鍋
朱子学における学問修養の中心課題の一。広く事物の道理をきわめ、正確な知識を獲得することで、そのために読書をすすめた。→居敬きょけい
[類語]研究考究探究学問討究講究調査分析論究攻究研鑽けんさんスタディーリサーチ(―する)究める調べる

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精選版 日本国語大辞典 「窮理」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐り【窮理・究キウ理】

〘名〙
① 物事の道理、法則をきわめること。
※正法眼蔵(1231‐53)栢樹子「究理坐禅してみるべし」 〔易経‐説卦
② 朱子学における修養の中心課題の一つ。格物致知の方法により、一事一物の道理をきわめ、そこに一貫する原理を発見すること。
集義和書(1676頃)九「善を知ながらせず、悪を知ながら不去は〈略〉良知にあらずともいひがたし。いまだ窮理の功いたらずして、精義入神の実地なければなり」 〔朱熹‐甲寅行宮便殿奏箚二〕
柳橋新誌(1874)〈成島柳北〉二「余れ将に諸を西洋窮理の諸先生に問はんとす」

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普及版 字通 「窮理」の読み・字形・画数・意味

【窮理】きゆうり

事物の存在の理を窮めて、認識に達する。宋学の方法。〔朱子語類、九〕學工夫は、唯だ居窮理の二事に在り。此の二事は互ひに相ひ發す。能く理を窮むれば、則ち居の工夫日にみ、能くに居らば、則ち窮理の工夫日に密なり。

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世界大百科事典(旧版)内の窮理の言及

【格物致知】より

…事物の道理を追究すること。窮理(きゆうり)ともいう。窮理はもと《易》説卦(せつか)伝に〈理を窮(きわ)め性を尽くし以て命に至る〉とあるのに由来する。…

【窮理学】より

…江戸時代に蘭学者によって西洋の自然科学,具体的にはオランダ語のNatuurkundeの訳語として用いられた言葉で,後に明治初年にいたって物理学を意味するようになった。〈窮理〉とは,もともと易の説卦伝に由来し,朱子によって学者の修養法として強調されたもので,事物についてその理を窮めるという方法を指した。蘭学者たちはみずからの学問を権威づけるために,当時の正統儒教であった朱子学から〈窮理〉なる語を借用したのである。…

【敬】より

…朱熹はこれらを踏まえ,心の静なるとき(未発(みはつ))も動くとき(已発(いはつ))も敬を持すことによって心の主体性を確立しようとしたのであった。しかし敬だけでは現実世界の筋道が見えてこないので,居敬と窮理(道理の追求)の双修を強調した。【三浦 国雄】。…

【謝良佐】より

…程(程顥(こう),程頤(い))門の高弟だが,生気はつらつとしたその学風は程顥(明道)に近い。仁を覚(知覚)とし,誠を実理とし,敬を常惺惺(せいせい)(心をたえず覚醒させておく)とし,窮理とは是(ぜ)(正しいあり方)を求めることだとするところに,彼の思想的立場がうかがわれる。青年期の朱熹(子)は彼の思想にゆり動かされたが,やがて批判するに至る。…

【朱子学】より

…(6)認識論 事物に宿る理を追求すること。〈窮理〉または〈格物致知〉という。しかし,ヨーロッパ的な認識論とは異なり,一事一物の窮理を積み重ねてゆくと,突如〈豁然貫通(かつぜんかんつう)〉(一種のさとり)が訪れるという。…

※「窮理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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