立ちくらみ(読み)たちくらみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「立ちくらみ」の意味・わかりやすい解説

立ちくらみ
たちくらみ

長時間立っていたり、坐位(ざい)からいきなり立ったりしたとき、血圧に変動がおこってくらくらするような症状をいい、位置の平衡感覚の異常による「めまい」とは区別される。寝ていて突然起きたり立ったりすると、血圧の低下を防ぐ機構が作動せず、著明な低血圧と全身とくに脳の血流の減少による症状が現れ、立ちくらみがみられることが多い。こうしたものを一般に起立性低血圧といい、小児の場合は起立性調節障害とよぶ。血圧の調節がうまくできない老人や小児のほか、更年期障害月経や妊娠時など女性だけにみられるものもある。老人では椎骨(ついこつ)動脈硬化によるものがあり、また薬の副作用によるものもある。治療としては、原因となる異常の除去が第一であるが、自律神経剤や精神安定剤、昇圧剤なども用いられる。

[山口規容子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の立ちくらみの言及

【起立性調節障害】より

…学童期に多い病気なので学校保健上大きな問題になっている。主要な症状は,(1)立ちくらみ,あるいはめまいを起こしやすい,(2)立っていると気持ちが悪くなり,ひどくなると倒れる(脳貧血),(3)入浴時あるいはいやなことを見聞きすると気持ちが悪くなる,(4)少し動くと動悸あるいは息切れがする,(5)朝なかなか起きられず,午前中調子が悪い。以上の5項目で,これらは起立性調節障害の診断基準の五大症状といわれ,この病気の患者には少なくとも一つ以上みられるものである。…

【ショック】より

…第4は血管壁の緊張が低下するため,循環血液が多量に末梢血管内にたまり,全体として循環する血液量が減少するもので,たとえば脊髄の損傷,脊椎麻酔のときなどにみられる。そのほか,起立性低血圧(いわゆる立ちくらみ)は,神経循環無力症という体質に基づくショック近縁状態のことがあり,強い恐怖等の精神作用が原因で失神する精神性ショック,上腹部を強打されたときに反射的に意識を消失する神経性ショック等もあるが,これらは生命に直接危険を及ぼすことはまれである。 ショックの程度を表す最も良い基準は,心拍出量,末梢の血管抵抗,心機能の変化であるが,これらを簡単に知る目安としてはまず動脈血圧の低下があり,脈拍は弱く,速く,皮膚は蒼白で冷たく,冷汗をかき,また脳の循環不全の結果意識状態も正常ではなくなって,落着きがなくなり,あるいは失神する。…

※「立ちくらみ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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