立入(読み)たちいり

精選版 日本国語大辞典 「立入」の意味・読み・例文・類語

たち‐いり【立入】

〘名〙
たちいること。中へはいること。
※国有財産法(1948)三一条の二「宅地〈略〉に立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない」
② 出たりはいったりすること。
評判記・色道大鏡(1678)一五「ここもとは人の立入しげき所なれば」
③ その家に親しく出入りすること。また、その人。
歌舞伎・蝶鶼山崎踊(1819)三幕「『何もおらが嚊アをつらまへて、あんな事をしてくれる事はねえぜ』『おぬしにさう云はれて見れば、あんまり立入(タチイ)りがねえやうで、おらア穴へも入りたい』」
④ 江戸時代、大坂の諸大名蔵屋敷で御用を勤めた商人。→御立入
⑤ もんちゃく。ごたごた。けんか。でいり。
※歌舞伎・八幡祭小望月賑(縮屋新助)(1860)序幕「何の構はっしゃるな、さあぶてろぶてろ、おれも男だ、一番立入(タチイリ)をやんべい」
⑥ 公務員が工場や事務所など一定の場所を検査または調査するためにはいること。立入検査立入調査

たち‐い・る【立入】

[1] 〘自ラ五(四)〙 (「たち」は接頭語)
① ある場所の中へはいる。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「おもひわづらひて、かくれたるすのこにたちいりて」
徒然草(1331頃)二三五「あるじなき所には道行き人みだりに立入」
② 深くかかわり合う。ある事に関係する。携わる。また、干渉する。
日葡辞書(1603‐04)「ゼンニ tachiiru(タチイル)
※評判記・難波物語(1655)「すべて賢愚貧富をわかたず、たちいる程のやぼすけは」
[2] 〘他ラ下二〙 あることばや文字詩文の中にさし入れる。特に、和歌俳諧で、物の名などを詠み入れる。
※古今私秘聞(1508)一七「銭をたち入て、せに替行とよめる、凡卑の説也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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