立挙（読み）タテアゲ

デジタル大辞泉

たて‐あげ【立挙】

《物の上端からさらにいちだん高く突き出た部分の意から》
１ 鎧よろいの胴の上部の前後で、胸と背とをおおう部分。衡胴かぶきどうの上につく。
２ 臑当すねあての上部で、膝頭をおおう部分。
３ 毛沓けぐつの上部で、足首をおおう部分。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

たて‐あげ【立挙】

〘名〙 物の上端にさらに一段と高くはり出した部分をいう。鎧の衡胴(かぶきどう)の上で、胸と背に当たる部分や臑当(すねあて)の上の膝頭(ひざがしら)を覆う部分。また、毛沓(けぐつ)の足首にめぐらした部分などをいう。

※軍用記（1761）二「鎧の事 鎧の胴の板は七枚なり〈略〉かぶき胴より上三枚をばたてあげといふ」

たち‐こぞ・る【立挙】

〘自ラ四〙 残らず立つ。総立ちになる。

※今昔（1120頃か）二八「家の門の前に、百千の人立挙て見る」

※浮世草子・好色五人女（1686）一「皆皆立こぞりて女は物見だけくて」

出典　精選版 日本国語大辞典

世界大百科事典（旧版）内の立挙の言及

【胴丸】より

…胴の前後を覆って，右脇で深く引き合わせ，裾に8枚の草摺（くさずり）を付属する。札（さね）とよぶ牛の撓革（いためがわ）または鉄の小片を横につらねてつづり合わせ，さらに縦に胴まわりを衡胴（かぶきどう）といって4段，立挙（たてあげ）といって正面上部の胸板につづく2段と背面上部の押付（おしつけ）につづく3段，草摺を5段，それぞれ革緒や糸の組緒で札を1枚ずつ細かに威（おど）しつけるのを常とする。草摺を8枚に分けているのは歩行しやすいためであり，13世紀末ころまでは，もっぱら歩兵用として兵卒の間に用いられた。…

※「立挙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」