笑う門には福来る(読み)ワラウカドニハフクキタル

デジタル大辞泉 「笑う門には福来る」の意味・読み・例文・類語

わらかどにはふくきた

笑いの絶えない人の家には、自然と幸福が訪れる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 「笑う門には福来る」の解説

笑う門には福来る

なごやかで笑いのたえない家には福の神が訪れ、繁盛する。

[使用例] お金の事など心配せず、まあ、わしたちにまかせて、大船に乗った気で一つ思い切り派手に年越しをするんだね。〈略〉笑う門には福が来る。どうも、この家は陰気でいけねえ。さあ、雨戸をみんなあけて、ことしの家中ちりあくたをさっぱりと掃き出して、のんきに福の神の御入来を待つがよい[太宰治*新釈諸国噺|1945]

[使用例] 大震災で親兄妹を亡くした子供が多い。食うためにこの子達が悪い事をするんでイヤがられていると云う。「でも可哀想だよ。小さいのは五つから、大きいんで十三、四。それが何百人も観音様の縁の下やさにして、生きて行こうてんだから無理もあるさ。聞いた事あるだろ、これが青空一家だ、目の仇敵かたきにしちゃいけないよ。仇をされても詰んないから、ただニコニコとしておやり、笑う門には福来る、だよ」[室町京之介*続香具師口上集|1984]

[解説] 「門」は家の出入り口ですが、同時に家そのものや家族、一門を象徴しています。「福」はしあわせで、かつては福の神が商売繁盛や家庭円満の福をもたらすとされていました。ことわざはシンプルな表現で、笑いと幸福の到来をストレートに結びつけています。この笑いは、弱い者や劣った者をばかにする嘲笑ではなく、無邪気で、腹の底から楽しく笑えるものでしょう。
 上方のいろはかるたにも収録され、絵札には満面の笑みを浮かべた大黒さまが描かれていました。背景には、中世以来の祝福芸で、だいこくてんの姿で門づけし笑いを振りまくだいこくまいがありました。正月になると、笑いが福を呼ぶことを素直に信じ、大黒舞を歓迎する庶民大勢いたのです。

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