笠森寺(読み)カサモリジ

デジタル大辞泉 「笠森寺」の意味・読み・例文・類語

かさもり‐じ【笠森寺】

千葉県長生郡長南町にある天台宗の別格大本山。山号大悲山開創は延暦3年(784)、開山伝教大師最澄)と伝える。大岩の上に建てられた観音堂は日本唯一の四方懸造かけづくりで、国の重要文化財坂東三十三所第31番札所。笠森観音。

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日本歴史地名大系 「笠森寺」の解説

笠森寺
かさもりでら

[現在地名]長南町笠森

観音山かんのんざんなどを寺域とする天台宗寺院。笠森観音と称される。日本で唯一という四方懸造による棟高九一尺余の観音堂(国指定重要文化財)からは眺望がきく。境内は鬱蒼とした森林に囲まれ、原生林など貴重な資料の宝庫であり、笠森寺自然林として国指定天然記念物。初め法東山、のち大悲山楠光院笠森寺と号する。本尊は十一面観音。延暦三年(七八四)に最澄が当地に来て十一面観音を彫り、草堂に安置したのが創建と伝える。長元元年(一〇二八)に後一条天皇の勅願で僧覚超が中興開山となり、四方懸造の本堂建立されたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笠森寺」の意味・わかりやすい解説

笠森寺
かさもりじ

千葉県長生郡長南町にある天台宗の別格大本山。大悲山楠光院(だいひざんなんこういん)笠森寺と号し、笠森観音(かんのん)として親しまれている。坂東(ばんどう)三十三所第31番札所。寺伝によると、784年(延暦3)に伝教(でんぎょう)大師(最澄(さいちょう))がクスの霊木で十一面観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)を彫刻して安置したのが開基で、楠光院という院号もこれに由来する。1028年(長元1)に後一条(ごいちじょう)天皇の勅願により日本唯一の四方懸造(かけづくり)の現本堂(観音堂、国重要文化財)が建立され、落慶のとき「法東山」の山号を勅賜され、勅願寺となった。近年まで山内に7か坊が存在し、一山をなしていた。十一面観音は秘仏で丑(うし)年と午(うま)年に開帳される。寺宝の鋳銅唐草文釣灯籠(からくさもんつりどうろう)は国重要文化財。山門手前に芭蕉(ばしょう)の句碑がある。

[中山清田]


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百科事典マイペディア 「笠森寺」の意味・わかりやすい解説

笠森寺【かさもりでら】

千葉県長南(ちょうなん)町にある天台宗の寺。笠森観音と通称。8世紀に最澄(さいちょう)が自刻の十一面観音を安置し創建。11世紀に後一条天皇の勅願で観音堂が建立されたという。現在の四方懸崖造(しほうけんがいづくり)の観音堂は天正(てんしょう)〜文禄(ぶんろく)期(1573年―1596年)の再建で重要文化財,境内の暖帯性照葉樹林の原生林は国指定天然記念物。

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デジタル大辞泉プラス 「笠森寺」の解説

笠森寺

千葉県長生郡長南町にある寺院。天台宗。山号は大悲山。784年、最澄の開創と伝わる。本尊は十一面観世音菩薩。観音堂、釣燈籠は国の重要文化財に指定。別称「笠森観音」。

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世界大百科事典(旧版)内の笠森寺の言及

【長南[町]】より

…市原市など京葉工業地域への通勤者も多い。天台宗の長福寿寺,笠森寺(笠森観音)など古刹(こさつ)が多く,笠森寺の観音堂(重要文化財)は四方懸崖造という特異な建築様式で知られる。また境内の原生林は暖帯性照葉樹林の典型といわれ,天然記念物に指定されている。…

※「笠森寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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