第一(読み)だいいち

精選版 日本国語大辞典 「第一」の意味・読み・例文・類語

だい‐いち【第一】

[1] 〘名〙
① 一番はじめであること。最初
歌経標式(772)「歌経標式第一」
徒然草(1331頃)二四三「その教はじめ候ける第一の仏は、如何なる仏にか候ける」 〔論語〕
② (形動) 最も大切なこと。最も主要なこと。また、そのさま。
落窪(10C後)二「衛門を第一の者にし給へり」
※浮世草子・好色盛衰記(1688)四「夫妻の中のよきは、まず見よげして、其家斉ひ、富貴なれる第(タイ)一なり」
③ (形動) 最もすぐれていること。また、そのさま。
※能因本枕(10C終)八四「除目に、第一の国得たる人」
※虎明本狂言・右流左止(室町末‐近世初)「かんせうじゃう、よにこえ、りこん第一の御かたなれば」 〔漢書‐賈誼伝〕
賭博一種。富くじに類するもの。
浄瑠璃壇浦兜軍記(1732)二「ちょぼいち張るな、畏った。第一の宿ならぬ、心得たと、判さへ押せば済む事」
⑤ 化学で、接頭語的に用いられる。
(イ) 金属化合物で金属が二種の原子価をとりうる場合、低い方の原子価による化合物であること。「酸化第一鉄」
(ロ) 三塩基酸の水素一原子だけが金属によって置換された酸性塩であること。「第一燐酸ナトリウム」
(ハ) 有機化合物炭素鎖末端炭素原子水酸基、またはアミノ酸などが結合したアルコール、またはアミン。「第一アルコール」
[2] 〘副〙 他のことはともかくとして、まず。一番に。まずもって。
曾我物語(南北朝頃)四「かかる大事こそ候はね。第一、上へきこしめされては、死罪流罪にも行はれ」

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デジタル大辞泉 「第一」の意味・読み・例文・類語

だい‐いち【第一】

[名]
順序のいちばんはじめ。最初。「本日第一試合」「朝第一新聞を読む」
最もすぐれていること。「その方面では第一技術者
最も重要であること。「健康を第一に考える」「安全が第一だ」
[副]ほかのことはともかくとして。何よりもまず。「第一その言いぐさがおかしい」「第一聞こうにもだれもいない」
[類語](1最初初め一次原初嚆矢こうし手始め事始めまず優先一番真っ先初発先頭いの一番トップしょぱな先立ち当初初期初頭始期早期劈頭へきとう冒頭出出でだ滑り出し初手出端ではなはなはし口開け取っ付きあたまのっけスタート取り敢えず差し当たりひとまず当座序の口皮切り第一歩第一声始まり始まる始める発端端緒濫觴らんしょう権輿けんよ起こりとば口取っ掛かり開始幕開き開幕立ち上がり口切り最優先何をおいても何はさておき何はともあれ口火を切る先ず以て/(2すい精髄精粋神髄エッセンスエキスハイライト

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「第一」の読み・字形・画数・意味

【第一】だいいち

最上。〔史記、相国世家〕位を奏するにび、皆曰く、陽侯曹參、身七十創を被り、を攻め地を略し、功最も多し。宜しく第一なるべしと。~帶劍、履(くつ)のまま上殿することを賜ふ。

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