第18富士山丸事件(読み)だいじゅうはちふじさんまるじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「第18富士山丸事件」の意味・わかりやすい解説

第18富士山丸事件
だいじゅうはちふじさんまるじけん

日本と朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)との関係改善にあたり,障害となった抑留事件。1983年北朝鮮は,冷凍運搬船第18富士山丸が,北朝鮮兵士閔洪九の亡命を手助けしたとして船長ほか 1人を抑留。その後中国において,日本政府は富士山丸乗組員釈放を北朝鮮と非公式折衝していたが,交渉は難航。1987年には日本側が閔洪九を釈放したため,北朝鮮側は態度を硬化させ,乗組員 2人を教化労働 15年の刑に処した。さらに 1988年の大韓航空機爆破事件による北朝鮮制裁措置により,日本と北朝鮮の外交官接触が不可能となったため,この問題の解決は宙に浮いた。しかし,冷戦構造崩壊の影響は朝鮮半島にも及び,孤立化を恐れた北朝鮮は,自由民主党の金丸信元副総理が北朝鮮を訪問した 1990年9月に 2人の釈放を通知し,2人は 10月11日に帰国した。

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