第5回アフリカ開発会議(読み)だいごかいあふりかかいはつかいぎ

知恵蔵 「第5回アフリカ開発会議」の解説

第5回アフリカ開発会議

2013年6月1~3日に横浜市で開催されたアフリカ開発促進のための国際会議。正式名称はTokyo International Conference on African Developmentで、略称TICAD。1993年以来、日本政府が国連、世界銀行などとの共催で5年ごとに開催してきており、今回が5回目(TICAD Ⅴ)。TICAD Ⅴの参加国は、アフリカ54カ国のうち51カ国。政情が不安定なギニアビサウ中央アフリカモザンビークは不参加だったが、2011年に誕生した南スーダン、12年に長年の無政府状態から脱したソマリアが初めて参加した。
今回20周年の節目に当たるTICAD Ⅴは、開催前から、アフリカの目覚ましい経済成長を背景に、資源開発・貿易・投資先としてのアフリカに注目が集まっていた。会議期間中、日本政府は従来の官主導の援助だけでなく、民間企業の進出・投資を促すことを表明。アフリカに対し、今後5年間で3.2兆円(内1.4兆円が政府の途上国援助)の支援を約束している。インフラ整備・人材育成・技術支援・多角的な産業の育成などで、貧困・飢餓やテロを減らし、アフリカに平和と安定をもたらすことが狙い。
最終日に採択された「横浜宣言2013」も、ハード・知的・人的インフラの強化焦点が当てられ、高等教育推進による科学技術の能力向上、農業生産性の向上による食料の安定確保、民間セクターの支援による多角的な産業育成など、「日本の新しい投資先」「世界成長の原動力」としてのアフリカの発展を促す行動計画が掲げられている。なお開催地について、これまで東京と横浜だったが、アフリカ諸国の強い要望に応え、日本とアフリカで順番に開催する「ローテーション」の原則も盛り込まれている。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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