笹の雪(読み)ささのゆき

精選版 日本国語大辞典 「笹の雪」の意味・読み・例文・類語

ささ【笹】 の 雪(ゆき)

絹漉豆腐(きぬごしどうふ)の風雅な呼び方。そのなめらかさを、笹の葉に積もった淡雪に見立てたものという。淡雪豆腐(あわゆきどうふ)
※人情本・吾嬬春雨(1832)前「有合したる酒肴・紅葉豆腐も笹(ササ)の雪(ユキ)
豆腐料理の一つ。文化・文政(一八〇四‐三〇)ごろから、江戸根岸新田(東京都台東区根岸)の料亭で売り出された、葛餡(くずあん)をかけた絹漉豆腐。吉原帰りの客で繁昌し、根岸名物となって現在に至る。また、その店名となる。
※人情本・花街寿寿女(1826)下「笹(ササ)の雪(ユキ)は当時流行でござりますがあまり上品過て」
③ (笹に積もった雪がすぐ落ちるように、首や胴がすぐに落ちることを表現して) 武士が刀につけた名。
武家名目抄(19C中か)刀剣部「池田が刀〈篠の雪と号する名剣也〉を永井に授く」
紋所の名。笹の上に積もった雪を図案化したもの。雪持笹。

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デジタル大辞泉 「笹の雪」の意味・読み・例文・類語

ささ‐の‐ゆき【×笹の雪】

《なめらかさを笹に積もった淡雪に見立てて》絹ごし豆腐のこと。
豆腐料理の一。絹ごし豆腐に葛餡くずあんをかけたもの。江戸根岸の名物。
紋所の名。笹に積もった雪を図案化したもの。雪持笹ゆきもちざさ

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世界大百科事典(旧版)内の笹の雪の言及

【豆腐】より

…東海道の目川(めがわ)(現,滋賀県栗東町)の田楽も有名で,これも同名の店を続出させた。京都の南禅寺湯豆腐,江戸根岸の笹(ささ)の雪も評判の店で,〈南禅寺何こちらにも笹の雪〉と江戸の川柳子は力んでいる。こうして1782年(天明2)には約100種の豆腐料理を記載した《豆腐百珍》が刊行され,その好評に乗じて《豆腐百珍続編》《豆腐百珍余録》が続刊されるほどであった。…

※「笹の雪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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