等韻図(読み)とういんず(英語表記)děng yùn tú

改訂新版 世界大百科事典 「等韻図」の意味・わかりやすい解説

等韻図 (とういんず)
děng yùn tú

中国の旧時の音節表。韻図ともいうが,厳密には韻図の一種縦軸に声母,横軸に韻母をとり,縦横の組合せによって該当個所に代表字を配したものである。主母音および介母の違いによって,韻母を一等,二等,三等,四等のごとく〈等〉によって区分するので〈等韻図〉と称する。現存最古の等韻図《韻鏡》を例にとれば,縦の行は,唇音,舌音,牙音,歯音,喉音,舌歯音(半舌音,半歯音)の調音部位による枠に分類され,各枠内が調音方法による清濁の別によって細分される。調音部位の枠順が牙,舌,唇,歯,喉,半舌,半歯となる系統のものもあり,喉音内が《韻鏡》では影,暁,匣,喩と細分されるのに対し,暁,匣,影,喩の順をとる系統のものがある。横の列は,《韻鏡》では上から平声,上声,去声,入声の枠順に分類され,各声調内が一等,二等,三等,四等に細分される。上から一等,二等,三等,四等の枠に分類され,各等内が平声,上声,去声,入声に細分される系統のものもある。図は《韻鏡》第二十五転である。豪爻霄蕭は平声,皓巧小篠は上声,号(號)効(效)笑嘯は去声であり,入声はない。○印は該当する文字がないことを示す。各声調内の一等は-âu,二等は-au,三等は-äu,四等は-ieu(カールグレン推定音)である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の等韻図の言及

【韻図】より

…縦軸に声母,横軸に韻母をとり,縦横の組合せによって該当する個所に代表字を配したもので,旧時の音節表である。主母音および介母の違いによって,韻母を一等,二等,三等,四等に4区分した音節表を〈等韻図〉と称する。一般に韻図と等韻図は通じて用いられるが,一方で韻母を開口呼〈介母ゼロ〉,合口呼〈介母‐u‐〉,斉歯呼〈介母‐i‐〉,撮口呼〈介母‐iu‐〉の4呼の別によって区分する韻図などもあるから,厳密にいえば全同でなく,等韻図は韻図の一種ということになる。…

※「等韻図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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