算(散)用状(読み)さんようじょう

改訂新版 世界大百科事典 「算(散)用状」の意味・わかりやすい解説

算(散)用状 (さんようじょう)

古代中世,収支決算を公表するために作成された書類。多くの場合,荘園年貢公事等の収支決算や,寺院等の法会・諸行事の実施に関する経費の収支決算のため,実務担当者が毎年の年のはじめに前年の状況を報告する目的で作成した。荘園の年貢に関しては,現地から領主への報告のために,領主の代官と現地の荘官が作成し,領主へ注進するかたちをとっている。その記載事項は,基本的収納額と,それから控除することを認められた分,および現地での支出を計算したうえ,現納分と未進分を書きあげている。そして,収支決算報告をうけた領主側では,いわゆる監査手続をすることになっており,たとえば東寺の場合には,供僧の年預等数人によって,記載項目と数量・額を点検のうえ,朱筆合点と訂正を加え,勘定終了のしるしに花押連署し,かつ年預が紙継目裏花押を据えることになっていた。
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百科事典マイペディア 「算(散)用状」の意味・わかりやすい解説

算(散)用状【さんようじょう】

結解(けちげ)状ともいう。主に中世の荘園の年貢・公事などに関する年間収支決算報告書をいう。地下算用状は年貢の未進・損亡などの増加によって多くなったとされる。
→関連項目船木田荘

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世界大百科事典(旧版)内の算(散)用状の言及

【荘園】より


【日本】
日本の荘園についての従来の研究は大きく二つの潮流に分かれる。 第1は荘園を私的大土地所有の形態とみて,その内部構造を究明しようとする流れで,近代史学史の主流をなし,中田薫朝河貫一,牧健二らにより,西欧との比較を通して確立した見方である。ただ中田薫が荘園領主権を公法上の支配権とし,朝河貫一が荘園とマナーの相違を強調,牧健二が(しき)の官職的・公法的側面に着目するなど,西欧の封建制との違いにそれぞれ注目していることは見のがせない。…

※「算(散)用状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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