改訂新版 世界大百科事典 「算(散)用状」の意味・わかりやすい解説
算(散)用状 (さんようじょう)
古代・中世,収支決算を公表するために作成された書類。多くの場合,荘園の年貢・公事等の収支決算や,寺院等の法会・諸行事の実施に関する経費の収支決算のため,実務担当者が毎年の年のはじめに前年の状況を報告する目的で作成した。荘園の年貢に関しては,現地から領主への報告のために,領主の代官と現地の荘官が作成し,領主へ注進するかたちをとっている。その記載事項は,基本的収納額と,それから控除することを認められた分,および現地での支出を計算したうえ,現納分と未進分を書きあげている。そして,収支決算報告をうけた領主側では,いわゆる監査の手続をすることになっており,たとえば東寺の場合には,供僧の年預等数人によって,記載項目と数量・額を点検のうえ,朱筆で合点と訂正を加え,勘定終了のしるしに花押連署し,かつ年預が紙継目裏花押を据えることになっていた。
執筆者:橋本 初子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報