算置(読み)さんおき

精選版 日本国語大辞典 「算置」の意味・読み・例文・類語

さん‐おき【算置】

〘名〙
① 算木を使って占うこと。また、そうして占う人。易者卜者
三十二番職人歌合(1494頃)六番「算をき。おく算の相生したる花の時風をばいれぬ五形也けり」
② 算木を使って計算すること。
※玉塵抄(1563)二六「元珪は筭をき上手ぞ。物をうらなう筭のことではないぞ。物のつもりをして、かずをよう知たぞ」
[補注]狂言の「居杭」を虎明本と虎寛本とで比較すると、虎明本では「うらやさん」「さんおき」、虎寛本では「算置」「陰陽」という呼称みえ、いずれも同一人物をさしている。算木を用いて占いをする者であるが、その方法にも種々あったらしく虎明本には「是は天狗のなげざんと申て、よの者の存ぜぬさんで御ざる」とある。

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改訂新版 世界大百科事典 「算置」の意味・わかりやすい解説

算置 (さんおき)

中世近世に民間で活躍した下層占師。うらやさん,占置(うらおき),見通(みとおし)などともいう。声聞師(しようもじ),博士(はかせ)などと同類の占師で,法師または山伏の姿をし,街頭に出て〈うらやさん〉などと唱えながら顧客を得,算木を用いて陰陽道系の占いを行った。《三十二番職人歌合》には虚無僧(こむそう)と対されて〈置く算の相生したる花の時風をばいれぬ五形なりけり〉〈輿(こし)ほどの仮屋のうちに身をおける算所の者の恨めしの世や〉の歌が収められ,能狂言《居杭(いぐい)》に算置が占うさまが記されている。民間ばかりではなく貴紳でも見通や算置法師を招いて占いをさせ,祈禱をも命じたことは《看聞日記》に見える。《人倫訓蒙図彙》によると,近世に入っても京都には何人かの名人がおり,その流れは伊勢,近江,讃岐などの諸国にいたという。他の文献によると,江戸にも多くの算置がいたことが見え,近世中期には俗体の算置もあらわれ,やがて,易巫,易者の中に吸収されたようである。
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世界大百科事典(旧版)内の算置の言及

【易者】より

…易は中国古代の占術で日本にも早く伝えられ,古代の平城京にすでに相八卦読のいたようすが《日本霊異記》にみられる。中世後期には算置(さんおき)といい,〈うらや算,占(うら)の御用〉などと呼びながら町を流し歩く者もあった。近世前期には算置の後身の占師(うらないし)があり,後期には天眼鏡で人相をみる人相見とならんで算木で卜筮する八卦見がいた。…

※「算置」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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