(読み)レン

デジタル大辞泉 「簾」の意味・読み・例文・類語

れん【簾】[漢字項目]

人名用漢字] [音]レン(呉)(漢) [訓]すだれ す
〈レン〉
すだれ。「簾中御簾ぎょれん玉簾如簾鋤簾じょれん水簾垂簾疎簾竹簾
たれているもの。「馬簾
〈すだれ〉「玉簾縄簾
[難読]暖簾のれん御簾みす

す‐だれ【×簾】

《「簀垂すだれ」の意》細く割った竹やアシなどを横に並べ、糸で編み連ねたもの。部屋の隔てや日よけ目隠しなどに掛けて垂らす。す。 夏》「二つりし―の透間花柘榴ざくろ虚子
せいろうなどの底に敷いたり、海苔巻のりまなどの巻き物料理に使う簀。
[類語](1日除けブラインド日覆い

れん【×簾】

すだれ。
「酒を買い、―を巻き、月をむかえて酔い」〈紅葉金色夜叉

す【×簾】

すだれ
「男いたくめでて―のもとに歩み来て」〈・帚木〉

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精選版 日本国語大辞典 「簾」の意味・読み・例文・類語

す‐だれ【簾】

[1] 〘名〙
① (「簀垂(すだれ)」の意) 細くけずった竹や葦(あし)などを緯(よこいと)とし、間隔を置いて糸で編み連ねたもの。掛け垂らして、風を通しつつ室の内外をへだてたり、日光をさえぎったりするのに用いる。簾(す)。垂簾(たれす)。《季・夏》
※万葉(8C後)四・四八八「君待つとわが恋ひをればわが屋戸の簾(すだれ)動かし秋の風吹く」
牛車(ぎっしゃ)や輿(こし)などの出入り口の障屏具。檳榔毛(びろうげ)には蘇芳染めの竹を用い、赤色簾または蘇芳簾といい、青竹のまま、または緑青(ろくしょう)で染めた竹を用いるのをふつうの料として青簾という。また、物見に懸けるものを小簾(こすだれ)という。うわすだれ。
※源氏(1001‐14頃)葵「人と相乗りて、すたれをだにあけ給はぬを、心やましうおもふ人おほかり」
③ 死者が出た家の表に「忌中」と書いた紙を貼って垂らす小さな簀(す)
※雑俳・柳多留‐六(1771)「朝帰りすだれへ戻る罰当り」
蒸籠(せいろう)の底に置く簀(す)
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉六「蒸籠の底を離れないで簀垂れの上に纏綿(てんめん)して居る」
郡内織(ぐんないおり)染色のとき生ずる斑点をいう。
[2] 俳諧撰集。伊予国愛媛県)の人、仙翁亭羨鳥編。紀行吟、連句、独吟歌仙、他の俳人発句などを集めたもの。元祿九年(一六九六)夏執筆。

れん【簾】

[1] 〘名〙 すだれ。みす。
※露団々(1889)〈幸田露伴〉一一「水晶の簾(レン)に玉を嵌たる如き硝子越しの月を詠(ながめ)ては」 〔白居易‐香炉峯下新卜山居草堂初成偶題東壁詩〕
[2] 〘接尾〙 (一)の数を数えるのに用いる。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「簾」の意味・わかりやすい解説

簾 (すだれ)

竹やヨシ(葦)などをすきまをあけて並べ編んだもの。室内の仕切り,日よけなどに用いる。〈すだれ〉は簀垂(すだれ)であり,〈す(簀)〉は〈すきま〉から出た言葉でもとは敷物である。簀とみられる遺物は縄文時代からある。《万葉集》に〈わがやどの簾動かし秋の風吹く〉などをはじめとしてすだれをよんだ歌が数多くあって,すだれは日本で古くから使われていた。材料にはほかに篠(しの),萱(かや),菅(すげ),薦(こも)などがある。伊予竹で作った伊予すだれは古来最高級品とされているが,伊予竹は伊予山中で採れる篠竹で,幹が細く軽いうえ光沢が美しいのですだれ材として最適である。すだれは一般には縁(へり)がつかないが,縁つきの高級品を御簾(みす)という。すだれは戸口や軒先など外部に面した場所にかけ,御簾は室内にかけるというが,特にきまりはない。すだれは光や風をとおすと同時に外から内部(暗部)が見えないという効用があり,扱いもかんたんで安価な屛障具として広く用いられた。ヨシで作ったすだれには2種類あり,葦(あし)すだれとよぶものは大喪中に使う御簾のことで,鈍色(にびいろ)(濃いねずみ色)の縁がつく。もう一種は〈よしず〉で,アシはヨシの異称である。よしずは太く長いヨシ(口径約1.5cm,長さ3~4m)をすだれ状に編んだもので商店などの店先に立てかけて日よけ,囲いなどに使い,養蚕,農・漁業用にも利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「簾」の意味・わかりやすい解説


すだれ

この名は「簀垂(すだ)れ」からおこったとみる説と、住むところの巣(す)の出入口に垂れ下げて風雨湿気を避けたのでという説がある。細い茎の葦(あし)や竹を細かく割ってつくった「ひご」を簀のように糸で編んでつくった屏障(へいしょう)具。外部から見えないよう、また強い外光よけや室内の仕切りに用いるが、通風性がよく、涼しい気分になるので、普通夏季に戸口や窓などに掛ける。巻き上げたとき、鉤(こ)という金物に掛けて下がらないようにし、鉤に丸緒の総(ふさ)を下げる。この名称は古く『万葉集』にみえるが、細い茎の葦を材料とした伊予(いよ)簾は平安時代に出現する。御簾(みす)は竹のひごを編み、周囲の縁を萌黄(もえぎ)地に黒の窠文(かもん)を染めた絹で巡らし、上部の縁は帽額(もこう)といって、やや幅広い。身分のある人の住居の、簀子(すのこ)と庇(ひさし)の間との境、あるいは庇と母屋(おもや)との境を仕切るため、一間ずつの長押(なげし)の下端に掛け連ねた。現在もっぱら宮殿や神殿に使うことが多い。変形なものに縄簾があるが、近世初期の風俗画にみえる。

[郷家忠臣]

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百科事典マイペディア 「簾」の意味・わかりやすい解説

簾【すだれ】

細い茎の竹やヨシ(葦)などをすき間をあけて並べ編んだもの。室内の仕切りや日よけなどに用いる。通風性がよく,外から内部が見えないという効用もあり,扱いもかんたんで安価な屏障具として広く用いられた。この名称は《万葉集》にみえ,日本で古くから使われていた。すだれは一般には縁(へり)がつかないが,縁つきの高級品は御簾(みす)という。
→関連項目スズタケ

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日本文化いろは事典 「簾」の解説

簾は、日差しを避けつつ風を通すという、一石二鳥の便利な道具です。現在でも和風の住宅では主に窓の外に外掛け用として使われています。歴史のある住宅 や、川に面した住宅に簾がかかっているのを見ると、とても風流に感じるものです。近年のアジアンブームや、癒しブームにより、本来の目的ではありませんが インテリアとしても人気があります。

出典 シナジーマーティング(株)日本文化いろは事典について 情報

家とインテリアの用語がわかる辞典 「簾」の解説

すだれ【簾】

細く割った竹や細い葦(あし)などを並べ、糸で編んだもの。住宅などの開口部に吊り下げて用いる。風を通しながら日よけや目隠しとして機能する。

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