デジタル大辞泉
「粘」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ねばり【粘】
① ねばること。ねばねばすること。また、その程度や
性質。ね
まり。
※
名語記(1275)六「ねばりなき物をば、さくさくといへる」
※
俳諧・俳諧新選(1773)五「搗立の餠つつじ哉粘り哉〈土髪〉」
② こねられてやわらかになること。
※
日葡辞書(1603‐04)「コトバニ nebariga
(ネバリガ) デキタ〈訳〉非常に抵抗した後で、少し軟化してきて、取りつくきっかけがもうできた」
③ 理屈っぽいこと。くだくだしいこと。すっきりしないこと。
※俳諧・
去来抄(1702‐04)同門評「句体風姿有、語路とどこほらず、情ねばりなく、事あたらし」
④ もちこたえ、持続する力。耐え忍ぶ力。また、その性質。
根気。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉名力士小錦と芽生えの
常陸、梅「比較的
小兵でありながら
割合に
力量に富み、特に腰にねばりのあることは」
ねば・い【粘】
〘形口〙 ねば・し 〘形ク〙
① ねばりけが多い。
粘着力がある。ねばり強い。ねばっこい。
※名語記(1275)三「ねばき物を、にとめくといへり」
※古活字本毛詩抄(17C前)四「旃檀はねはい木ぢゃ」
②
動作が重く鈍い。のろのろしている。すばやくない。
※
史記抄(1477)三「人のねはいと云やうな心ぞ。ねまりて物を思索することが、をとなの志のやうなり」
③ 手ごわい。手にあまる。強い。
※両足院本山谷抄(1500頃)一「
此人はね
ばい弓矢とりぞ」
ねば‐さ
〘名〙
ねば・る【粘】
〘自ラ五(四)〙
① 柔らかで物によくつく。柔らかい物がくっついて、なかなかとれなくなる。べとべとする。べたつく。
※
徒然草(1331頃)一一八「膠にも作るものなれば、ねばりたるものにこそ」
② あることを、なかなか諦めずにしぶとく続けたり持ちこたえたりする。特に、
飲食店などに長時間腰を据える。
※
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈
谷崎潤一郎〉一〇「前のめりにならうとするのを腰で粘
(ネバ)って受け止めているお久の」
③ くだくだしい感じになる。しつこい感じになる。
※許六宛去来書簡‐元祿八年(1695)正月二九日「先、中の七字ねばり申候との事、いかなる処がねばり候や。心ねばり候や。
言葉にねばり候や。且又読下し候て語路ねばり候や」
ねば【粘】
〘名〙
① ねばりけのあること。ねばっこいこと。また、そのもの。ねばり。
② 飯の煮えたったとき、釜の外にあふれ出る粘液状の汁。おねば。
ねば・す【粘】
〘他サ四〙 ねばるようにする。ねばりつかせる。ね
ばらかす。
※玉塵抄(1563)一五「新餠は茶を引てその粉をねばいて丸して餠のやうにまるうするぞ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の粘の言及
【平仄】より
… ●○○●● ○●●○◎ (王維〈春日上方即事〉) 偶数句目の句とつぎの句とは,2字目と4字目が同一となる。それを粘といい,もし逆であれば失粘といい,今体詩の韻律からはずれるとされる。七言今体詩のばあいは,五言今体詩の毎句の上に2字加えて偶数字目の平仄の逆にし,これを〈二四不同二六対〉といいならわしている。…
※「粘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」