糝粉(読み)しんこ

精選版 日本国語大辞典 「糝粉」の意味・読み・例文・類語

しん‐こ【糝粉】

〘名〙
① 精白したうるち米を乾燥してひいた粉。
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉壱円紙幣の履歴ばなし「ごろ松さんが新粉(シンコ)にてまるめ易しと旦那を説き伏せ」
評判記色道大鏡(1678)四「しんこ白糸、ぼたもちを萩の花〈略〉などいはんは」

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デジタル大辞泉 「糝粉」の意味・読み・例文・類語

しん‐こ【×糝粉】

うるち米を洗って乾かし、ひいて粉にしたもの。上質のものを上糝・上用粉という。
糝粉もち」の略。
[類語]米粉べいふん米粉こめこ白玉粉

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改訂新版 世界大百科事典 「糝粉」の意味・わかりやすい解説

糝粉 (しんこ)

うるち米を水洗いして乾燥したのち粉にしたもの。新粉とも書き,米粉(こめこ)と呼ぶこともある。普通品を並新粉,きめの細かい上質品を上新粉,上用粉と呼ぶことも多い。各種のだんご,鶴の子餅,寿甘(すあま),切りザンショウ,ういろう,柏餅,草餅薯蕷(しよよ)まんじゅう塩せんべいなど,和菓子の材料として広く用いられる。新粉を水でこねて蒸し,それをついたものが新粉餅で,これでさまざまな物の形をつくるのが新粉細工である。新粉餅で馬の形をつくったものと思われる〈しんこ馬〉の語が《毛吹草》(1638)に見え,こうしたものから新粉細工ははじまったのであろう。江戸中期ころから子ども相手の屋台店などで行われ,昭和初期まではよく見かけたが,いまはほとんど見られない。はさみ,竹串(たけぐし),へらなどを用いて細工したものに色をつけ,蜜(みつ)をかけて食べるようにするが,幕末期の《守貞漫稿》にはすでに食べる子はまれだとされている。
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世界大百科事典(旧版)内の糝粉の言及

【米】より

…米の粉はおもに和菓子の材料として使われている。うるち米を水洗し臼びきして得られる糝粉(しんこ),もち米を水洗し臼びきし多量の水で洗った後乾燥した白玉粉,餅またはもち米を蒸してから乾燥し石臼で粗びきした道明寺粉などがそれである。このほかうるち米の粉を原料としためんの一種であるビーフン,うるち米を蒸して乾燥したα米,同じようにもち米から作る即席餅などの製品もある。…

※「糝粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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