日本大百科全書(ニッポニカ) 「糸園和三郎」の意味・わかりやすい解説
糸園和三郎
いとぞのわさぶろう
(1911―2001)
洋画家。大分県生まれ。1927年(昭和2)上京し、川端画学校、ついで前田写実研究所に学ぶ。独立展のほか、若手前衛グループ「飾画(かざりえ)」で活躍。シュルレアリスム的作品を描く。シュルレアリスムを主に、前衛的な作家が多数集った美術文化協会の創立に参加、43年新人画会の結成に加わり、第二次世界大戦の戦況が激化するなかで発表を続ける。第二次世界大戦後、自由美術家協会に移る。57年(昭和32)サン・パウロ・ビエンナーレ展に出品。戦後しばらくは、限られた色彩のなかで、筆致を生かした単純な色面のなかに人物や動物の形象を配した作品を描く。60年代後半からは、ベトナム戦争をテーマにするなど、現実社会との対峙(たいじ)の姿勢を明確にする。1958年より日本大学芸術学部で教鞭(きょうべん)をとる。78年北九州市立美術館と大分県立芸術会館で大規模な個展を開催した。
[小倉忠夫・柳沢秀行]
『『糸園和三郎作品集』(1976・求龍堂)』▽『『糸園和三郎「素描とガラス絵」展』(1981・日動画廊)』
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