糸魚川-静岡構造線(読み)いといがわしずおかこうぞうせん(英語表記)Itoigawa-Shizuoka tectonic line

改訂新版 世界大百科事典 「糸魚川-静岡構造線」の意味・わかりやすい解説

糸魚川-静岡構造線 (いといがわしずおかこうぞうせん)
Itoigawa-Shizuoka tectonic line

日本列島の中央部を糸魚川から静岡までほぼ南北に横切る大断層矢部長克命名(1918)。フォッサマグナの西縁を画する断層とみなされている。巨視的にみれば,構造線の西には中・古生界が,東には新第三系が広く分布する。また高峻(こうしゆん)な飛驒山脈木曾山脈赤石山脈の帯状配列はこの構造線で断ち切られており,地形的にも東西両域の違いが明瞭である。構造線の完成は新第三紀末~更新世初期。しかし糸魚川~塩尻間,塩尻~韮崎間,韮崎~静岡間でそれぞれ断層の性格や活動時期が異なるため,その形成機構についてはなお問題が残されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「糸魚川-静岡構造線」の意味・わかりやすい解説

糸魚川-静岡構造線
いといがわしずおかこうぞうせん
Itoigawa-Shizuoka tectonic line

日本列島を東北日本西南日本に分ける地質構造線。日本海岸の糸魚川市から,姫川,松本市,諏訪湖韮崎市を経て,太平洋岸の静岡市までの南北約 250kmを走る。1918年地質学者の矢部長克により命名された。フォッサ・マグナの西縁を画する大断層で,逆断層が露呈し,場所によっては横ずれ断層も発達している。西は中生代古生代岩石を主とする山岳地帯,東は新生代新第三紀地層,花崗岩類,火山岩からなるなど,構造線の両側地質構造地殻変動様式が大きく異なる。

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