デジタル大辞泉
「紅の」の意味・読み・例文・類語
くれない‐の〔くれなゐ‐〕【紅の】
[枕]
1 色の美しく、浅い意から、「色」「あさ」にかかる。
「―色には出でじ」〈古今・恋三〉
「―浅葉の野らに」〈万・二七六三〉
2 紅花の汁の染料を「うつし」といい、また、紅を水に振り出して染め、灰汁で洗う意から、「うつし」「ふりいづ」「飽く」などにかかる。
「―現し心や妹に逢はざらむ」〈万・一三四三・一云〉
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くれない‐の くれなゐ‥【紅の】
枕
① 紅の色の意で「いろ」にかかる。
※
万葉(8C後)四・六八三「言ふことのかしこき国そ紅之
(くれなゐの)色にな出でそ思ひ死ぬとも」
② 紅色がうすいところから「浅
(あさ)」を介して、
地名「あさはの野」にかかる。
※万葉(8C後)一一・二七六三「紅之
(くれなゐの)浅葉の野らに
刈草(かるかや)のつかの間も我を忘らすな」
③ 紅花をふり出して色を染めるところから、「振り出づ」にかかる。
※古今(905‐914)恋二・五九八「紅のふりいでつつ泣く涙には袂
(たもと)のみこそ色まさりけれ〈
紀貫之〉」
④ 紅花で何度も染める意で、何回も染料に浸す意の「やしほ」を介して、地名「やしほの岡」にかかる。
※按納言集(1186‐87頃)「くれなゐのやしほの岡の岩つつじこや山姫のまふりての袖」
⑤ 紅花の色をうつす意で「うつし」にかかる。
※万葉(8C後)七・一三四三「こちたくはかもかもせむを石代の
野辺の
下草吾し刈りてば、一云、紅之
(くれなゐの)うつし心や妹に逢はざらむ」
⑥ 染料の
灰汁(あく)の意で、「飽
(あ)く」にかかる。
※
拾遺(1005‐07頃か)恋五・九七八「限りなく思ひそめてし紅の人をあくにぞ帰らざりける〈よみ人しらず〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報