紅岩(読み)こうがん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅岩」の意味・わかりやすい解説

紅岩
こうがん

現代中国の長編小説羅広斌(らこうひん)・楊益言(ようえきげん)の共著。1961年初版刊行。中華人民共和国成立前夜の国共内戦下、重慶(じゅうけい/チョンチン)にあった特務機関の秘密監獄である中米合作所に捕らえられた作者たちの体験をもとにした、生々しい獄中闘争が描かれている。実在の人物をモデルにした許雲峰、江雪琴らが、国民党の過酷な拷問に耐え抜き、共産主義者としての信念を貫き通して犠牲になっていくその雄々しい姿が読者に迎えられ、450万部を超える建国以来のベストセラーとなった。

前田利昭

『三好一訳『紅岩』上中下(1963・新日本出版社)』『三好一訳『紅岩』上下(1978・講談社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紅岩」の意味・わかりやすい解説

紅岩
こうがん
Hong-yan

中国の長編小説。羅広斌 (らこうひん) ,楊益言の共著。 1961年成立。重慶にあった国民党政府とアメリカの特務機関の秘密監獄に捕えられ,台湾に脱出する国民党政府の虐殺から九死に一生を得た著者らが,その体験をもとに,獄外での闘争をあわせ,解放直前の重慶を描いたもの。出版されるや共産主義の生きた教科書として大反響を呼び,1年間に百数十万部を売りつくしたという。文化大革命のなかでは江青らの批判の対象となり,羅広斌は獄内で転向したと攻撃され,自殺に追込まれた。四人組追放以後,本書は再評価され,楊益言も活動を再開している。

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