紅花(読み)こうか

精選版 日本国語大辞典 「紅花」の意味・読み・例文・類語

こう‐か ‥クヮ【紅花】

〘名〙
① 赤い色の花。また、紅色をしたものの形容にも用いる。
※文華秀麗集(818)下・観闘百草簡明執〈滋野貞主〉「紅花緑樹煙霞処。弱体行疲園逕遐」
※源平盛衰記(14C前)二八「飄颻(へうよう)する事、紅花(コウクヮ)の旋風に翻(ひるがへ)るに似たり」 〔郭璞‐塩池賦〕
② 「べにばな(紅花)」の漢名。〔俳諧・季引席用集(1818)〕
ベニバナの花弁からとった顔料。染料や化粧用のべに、食紅の原料となる。
浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)三熊野「是こそはそのはじめ白粉(はくふん)紅花(カウク)に粧ひし」
④ ベニバナの花冠を乾燥したもの。漢方で、通経剤として珍重される。〔宋史‐地理志五・利州路・興元府〕

べに‐ばな【紅花】

〘名〙 キク科一年草原産地エチオピアもしくはアフガニスタン山地とされ、主にインド中国、南ヨーロッパなどで栽培。日本でも山形県などで栽培されている。高さ〇・三~一メートル。葉は広披針形、縁が鋭く切れ込みその先端はとげ状になる。夏、枝先にアザミに似た紅黄色の頭花が咲く。小花はすべて管状花果実楕円形で白い。若い茎・葉は食べられる。古くは花から黄色や紅色の染料をつくった。また漢方では通経・腫瘍(しゅよう)の薬に用いた。べにのはな。すえつむはな。くれのあい。《季・夏》
小右記‐長保元年(999)八月六日「佐渡守致信献桑糸十疋、紅花二千枚」

べに‐の‐はな【紅花】

〘名〙 =べにばな(紅花)《季・夏》 〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「紅花」の意味・読み・例文・類語

べに‐ばな【紅花】

キク科の越年草。高さ約1メートル。葉は堅くてぎざぎざがあり、互生する。夏、アザミに似た頭状花が咲き、鮮黄色から赤色に変わる。花を乾かしたものを紅花こうかといい婦人薬とし、また口紅や染料の紅を作り、種子からは食用油をとる。エジプトの原産で、日本では山形が主産地。すえつむはな。くれのあい。べにのはな。サフラワー 夏》「手をそよがせて―を摘む娘かな/憲吉」

こう‐か〔‐クワ〕【紅花】

赤い色の花。
ベニバナの花を乾燥させたもの。漢方で、腹痛・月経不順・浄血などに用いる。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「紅花」の解説

こうか【紅花】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。キク科ベニバナ管状花(かんじょうか)を乾燥させたもの。血行促進、血圧降下、通経(つうけい)などの作用がある。月経痛月経不順に効く折衝飲(せっしょういん)月経困難更年期障害高血圧に効く通導散(つうどうさん)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「紅花」の解説

紅花
べにばな

紅色染料の原料
双子葉類・キク科。古代に中国から輸入され,以来各地で栽培された。江戸時代,商品作物として四木三草の一つにあげられ,出羽最上・陸奥仙台が特産地として有名。衣料染料や口紅の原料となった。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「紅花」の解説

紅花 (ベニバナ・アカバナ;コウカ;ベニノハナ)

学名:Carthamus tinctorius
植物。キク科の越年草,園芸植物,薬用植物

紅花 (ベニバナ)

植物。フウロソウ科の多年草,園芸植物,薬用植物。ゲンノショウコの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

普及版 字通 「紅花」の読み・字形・画数・意味

【紅花】こうか

赤い花。

字通「紅」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅花」の意味・わかりやすい解説

紅花
こうか

ベニバナ

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の紅花の言及

【ベニバナ(紅花)】より

…とげが作業者の皮膚を刺すので,早朝まだ朝露のかわかないうちに花冠を摘む。これを陰干ししたものが生薬の紅花(こうか)で,漢方で婦人薬などに処方される。種子はやや堅い白色の殻に包まれ,ヒマワリの種子を小型にした形で,紅花油safflower oilを26~37%含む。…

※「紅花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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