紙帳(読み)シチョウ

デジタル大辞泉 「紙帳」の意味・読み・例文・類語

し‐ちょう〔‐チヤウ〕【紙帳】

紙をはり合わせて作った蚊帳かや防寒具にも用いた。 夏》ちりの身とともにふはふは―かな/一茶

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紙帳」の意味・わかりやすい解説

紙帳
しちょう

紙製蚊帳(かや)。紙布を糊(のり)付けして張り合わせてつくる。『守貞漫稿(もりさだまんこう)』(1853序)には図入りで掲げられ、上部が狭く下部が広くなっているものが江戸で売り物とされたこと、あちこちを地紙(じがみ)形(扇形)、団扇(うちわ)形などに切り除き紗(しゃ)を張ってふさぎ使ったことなどが述べられている。『理斎(りさい)随筆』(1823序)には、安価で寝姿が見えないなどと、紙帳の十徳が説かれている。石見(いわみ)(島根県)の山村では明治末まで蚊帳として使用されたし、会津(福島県)では柿渋(かきしぶ)で補強した紙布を敷き、作業用としてカヤとよばれる紙帳を吊(つ)り、その中で紙製の帽子をかぶって、製蝋(ろう)用のキノミ(漆の実)搗(つ)きをしたという。

天野 武]


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普及版 字通 「紙帳」の読み・字形・画数・意味

【紙帳】しちよう(ちやう)

紙のとばり。宋・成大〔宴坐、四首、三〕詩 一點の斜光、紙帳らかに 悟知す、檐雀(えんじやく)の已に(うが)てるを

字通「紙」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の紙帳の言及

【蚊帳】より

…麻糸で1枚の蚊帳をつくるには非常な手間と日数を要し,主婦が1張の蚊帳をつくることは男が一代で家を建てることに匹敵する功労といわれた。蚊帳にはこのほか木綿の綿帳,紙製の紙帳もあり,幼児用の折りたたみ式幌蚊帳もある。綿帳,紙帳は麻蚊帳の買えない人や雇人用として用いられたが,そればかりでなく綿帳は冬の防寒用に,また紙帳は塗師がほこり除け用としても利用した。…

※「紙帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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