素材産業加工組立産業(読み)そざいさんぎょうかこうくみたてさんぎょう

改訂新版 世界大百科事典 「素材産業加工組立産業」の意味・わかりやすい解説

素材産業・加工組立産業 (そざいさんぎょうかこうくみたてさんぎょう)

素材産業は鉄鋼,非鉄金属,化学,窯業・土石,紙・パルプ,繊維石油石炭等の産業をいい,加工組立産業は一般機械,電気機械,精密機械,輸送機械等の産業を指す。前者は建築土木で使う資材や加工組立産業の原材料といった他の産業で使用される素原材料を供給する産業であり,後者は原材料と部品の加工との組合せによって製品を生産する産業である。素材産業では,均質な製品が主であり,用途が資材,原材料であるから,一定の品質を満たしていればメーカーによる製品の差別化はむずかしい。一方,加工組立産業では,買手が消費者の場合,同じ機能の製品であっても,デザインや有名メーカーのものであるかどうかで選好される度合が強いから,メーカーは製品差別化が可能である。また,素材産業は原材料燃料多消費型であり,加工組立産業は労働集約型である点なども両者のおもな違いである。なお工業国では1973年の石油危機後,原材料の節約,建設投資の低迷等から素材産業の多くは不振に陥ったが,加工組立産業は省エネ機種,高機能の製品の開発によって比較的高い伸びを続けた。とくに日本では,両産業の跛行(はこう)性が著しく,比較して論じられることが多くなった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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