細胞骨格(読み)サイボウコッカク(英語表記)cytoskelton

デジタル大辞泉 「細胞骨格」の意味・読み・例文・類語

さいぼう‐こっかく〔サイバウ‐〕【細胞骨格】

細胞の形を支えている細胞内の組織。柔軟なたんぱく質線維で、細胞内の物質輸送や細胞の運動などにも関与している。微小管中間径フィラメントマイクロフィラメントアクチンフィラメント)の3種類がある。

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化学辞典 第2版 「細胞骨格」の解説

細胞骨格
サイボウコッカク
cytoskeleton

細胞内に張りめぐらされているタンパク質性の繊維状構造で,アクチンフィラメント(直径5~9 nmアクチンの集合体)や微小管microtubule(直径25 nm,チューブリンの集合体)や中間径繊維intermediate filament(直径約10 nm)がある.細胞の構造維持や運動に関与する.微小管は核の近くの中心体から伸びている.中間径繊維は上皮細胞の接着部位(接着斑(はん),desmosome)を起点とする.サブユニット会合解離により長さを自在にかえることができる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細胞骨格」の意味・わかりやすい解説

細胞骨格
さいぼうこっかく
cytoskelton

細胞の形を保持し,また変化させる細胞内の要素であり,微小管と微小繊維がその役割を担っている。細胞の形を決定するものでも,細胞壁や骨組織の造骨細胞を囲む骨質などの細胞外基質はこれに含まれない。アクチン,ミオシントロポミオシン等の微小繊維は,微細で束状・網状なのに対し,チューブリンより成る微小管は太く,支柱のように見える。細胞骨格は,原形質流動神経細胞軸索輸送など細胞内の物質輸送や,細胞分裂,ゾル・ゲル運動,食作用など細胞形態変化に関する作用,細胞小器官の移動といった実に多様な役割を担っている。

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栄養・生化学辞典 「細胞骨格」の解説

細胞骨格

 細胞を形作る線(織)維状もしくは網目状の構造.アクチン線(織)維からなるミクロフィラメント,チューブリン線(織)維からなる微小管,および中間フィラメントがある.細胞の形態のほか,細胞内輸送,細胞の運動などを行う.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の細胞骨格の言及

【細胞】より

… 真核細胞は,原核細胞と同様に原形質の可溶性分画によって細胞の基本的な代謝機能を果たしているが,そのほかにさらに高次な構造をもち,高次な制御系をもっている。とくに,細胞質に発達した異質の構造系として細胞内膜系と細胞骨格構造とがあり,高次な構造をつくり上げ,高次な機能を発揮できるのはこれらの構造のためである。
[細胞内膜系]
 網目状に発達した複雑な膜構造で,分化した細胞の機能と密接な関係があり,その発達のようすは細胞の種類によってひじょうに違っている。…

※「細胞骨格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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