経済復興会議(読み)けいざいふっこうかいぎ

改訂新版 世界大百科事典 「経済復興会議」の意味・わかりやすい解説

経済復興会議 (けいざいふっこうかいぎ)

第2次大戦後,経済復興を労使協力により達成するため,総同盟経済同友会が中心となり,産別会議,経営者団体,技術者団体,調査団体,学識経験者等の参加を得て結成された国民運動組織。1947年2月に結成され(議長鈴木茂三郎),48年4月に事実上解散した。経済復興会議の方針は,業種別・地方別の経済復興会議と個別企業内の経営協議会を中心とする,労使協力による経済復興であった。しかし,総同盟と経営者団体はこれらの組織を労使協調組織として重視したのに対し,産別会議は1946年10月に産業復興会議を結成し〈ゼネストで経済復興〉を唱えていたので,経済復興会議に参加後もこれらの組織を労使協調組織とは考えず,労働者の手による経済復興を唱えて団体交渉ストライキを重視し実行した。会議結成当初からあった両者間の対立はしだいに激化し,総同盟と経営者団体が産別など共産党系労働組合を排除するために会議解散と再発足要求するに及んで,対立は頂点に達した。そして,要求をいれられなかった総同盟と経営者団体が会議を脱退して,経済復興会議は事実上解散した。会議は啓蒙宣伝の面では相当の成果を収めたが,具体的な経済復興の面ではみるべき成果を上げなかった。会議の意義は,並行して進められた傾斜生産方式石炭鉄鋼重点とし重工業中心の経済復興を目的としたこととあいまって,労働者を日本経済の資本主義的再建に向け思想動員することにあったといってよい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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