経行(読み)けいこう

精選版 日本国語大辞典 「経行」の意味・読み・例文・類語

けい‐こう ‥カウ【経行】

〘名〙
① (━する) めぐり行くこと。すぎ行くこと。経過
読本椿説弓張月(1807‐11)拾遺附言「亦天台妙文句八之二曰、〈略〉我耆闍崫(ぎしゃくつ)に於(おいて)経行(ケイコウ)せしに」 〔皎然‐秋晩宿破山寺詩〕
② 月のめぐり。月経経水
※小野徒玉茎嘘字尽(1854‐60頃か)「婦人けいこうを月役という」 〔証治準縄〕
儒教経書の教えにのっとった行動。
江戸繁昌記(1832‐36)四「口、経義を説くも、躬、経行を欠く」

きょう‐ぎょう キャウギャウ【経行】

〘名〙 仏語一定場所を行ったり来たりして歩くこと。坐禅疲労眠気をさますために行なうもの。転じて、読経念仏しながら仏堂内などの一定の所を歩くこと。きんひん
霊異記(810‐824)中「樹下を経行して、仏道を求む
源平盛衰記(14C前)二八「偏へに経をよみ、坊中(ばうぢう)に経行(キャウギャウ)して」

きん‐ひん【経行】

〘名〙 (「きん」は「経」の、「ひん」は「行」の唐宋音) 禅宗で、座禅の時に、睡眠などを防ぐため時間を定めて衆僧が一斉に座を立ち、堂内の一定距離を作法に従いゆっくり往復して歩くこと。
※正法眼蔵(1231‐53)行持上「古往の聖人、おほく樹下露地に経行(きんひん)す」

へ‐ゆ・く【経行】

〘自カ四〙 時間・月日などがたって行く。
※万葉(8C後)一五・三七一三「黄葉は今はうつろふ吾妹子が待たむといひし時の倍由気(ヘユケ)ば」

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デジタル大辞泉 「経行」の意味・読み・例文・類語

きん‐ひん【行】

唐音》「きょうぎょう(経行)」に同じ。禅宗でいう。

けい‐こう〔‐カウ〕【経行】

[名](スル)
過ぎ行くこと。通過。
月のめぐり。月経。

きょう‐ぎょう〔キヤウギヤウ〕【経行】

仏語。心身を整えるために、一定の場所をゆっくり歩くこと。
[補説]禅宗では「きんひん」と読む。
堂内の仏前を静かに読経しながら歩くこと。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経行」の意味・わかりやすい解説

経行
きんひん

経典では「きょうぎょう」と読むが,禅宗では「きんひん」と読む。坐禅中に睡気に襲われたとき,疲労したときなどに,一定の場所を経文を称えたりなどしつつ,静かにゆっくりと歩行すること。

経行
きょうぎょう

経行」のページをご覧ください。

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普及版 字通 「経行」の読み・字形・画数・意味

【経行】けいこう

常行。

字通「経」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の経行の言及

【行道】より

…また大法要で大衆が入堂する際に行列をなして境内や回廊を練り歩くのも行道の一種で庭儀式,縁儀式という。行道面(2)経行(きようぎよう∥きんひん)のこと。一定地域を巡ったり,座禅のさいの眠けを覚ますために身心を整える運動をいう。…

【行道】より

…また大法要で大衆が入堂する際に行列をなして境内や回廊を練り歩くのも行道の一種で庭儀式,縁儀式という。行道面(2)経行(きようぎよう∥きんひん)のこと。一定地域を巡ったり,座禅のさいの眠けを覚ますために身心を整える運動をいう。…

※「経行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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