精選版 日本国語大辞典 「絶」の意味・読み・例文・類語
た・える【絶】
〘自ア下一(ヤ下一)〙 た・ゆ 〘自ヤ下二〙 (続いているものが途中で切れるのが原義)
① 一続きのものが途中で切れる。続いていたものが切れて続かなくなる。とぎれる。
※竹取(9C末‐10C初)「綱たゆるすなはちに〈略〉落ち給へり」
② さらに続くべきものの先がなくなる。尽きる。途中で消える。滅びる。
※万葉(8C後)五・八三〇「万代に年は来経(きふ)とも梅の花多由流(タユル)ことなく咲き渡るべし」
※山家集(12C後)中「琴の音になみだを添へて流すかなたえなましかばと思ふ哀に」
④ 人との関係が切れる。縁が切れる。交わりがとぎれる。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「かの、たえたる峯に、うつろひ給ひにし」
ぜっ‐・する【絶】
[1] 〘自サ変〙 ぜっ・す 〘自サ変〙
① (「…に絶する」または「…を絶する」の形で用いる) そのもの、または、状態とはまったくかけ離れる。越える。
※拾玉得花(1428)「妙者、言語を絶(ゼッシ)て、心行所滅也」
② 続いていた状態やものがそこで終わる。絶える。〔文明本節用集(室町中)〕
※化銀杏(1896)〈泉鏡花〉一五「もし強ゐて戸を開きて光明其膚に一注せば、渠(かれ)は立処に絶(ゼッ)して万事休(や)まむ」
[2] 〘他サ変〙 ぜっ・す 〘他サ変〙 物事の関係を断ち切る。断つ。
※続日本後紀‐天長一〇年(833)一〇月辛卯「父母歿後、口絶二五味一、哀慕之情無二蹔忘時一」
たえ‐・す【絶】
[1] 〘自サ変〙 絶えてしまうようになる。きれるようになる。絶える。尽きる。
※万葉(8C後)一四・三三九七「常陸なる奈佐可の海の玉藻こそ引けば多延須礼(タエスレ)あどか多延世(タエセ)む」
※源氏(1001‐14頃)宿木「心惑ひのたえせぬもあいなきに」
[2] 〘他サ四〙 絶えるようにする。なくする。思い切る。絶やす。
※寛永版曾我物語(南北朝頃)一一「我等肉食をたえしては、身命助かり難し」
ぜつ【絶】
〘名〙
① 「ぜっく(絶句)」の略。
※随筆・独寝(1724頃)上「余亦毎下截レ絶綴上レ律、必贈レ彼以且譏且賞」
② 短歌のこと。長歌を中国風に「賦(ふ)」というのに対する。また、接尾語的に、短歌を数えるのに用いる。
※万葉(8C後)一七・三九九三・題詞「敬和下遊二覧布勢水海一賦上一首并一絶」
たや・す【絶】
〘他サ五(四)〙
① あるものを絶えるようにする。絶つ。
※千載(1187)序「かつは道をたやさざらんがために」
② あるものをなくなったままにすておく。きらす。
※俳諧・炭俵(1694)下「片はげ山に月をみるかな〈利牛〉 好物の餠を絶さぬあきの風〈野坡〉」
ぜっ‐・す【絶】
〘自他サ変〙 ⇒ぜっする(絶)
た・ゆ【絶】
〘自ヤ下二〙 ⇒たえる(絶)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報