綾川(読み)アヤガワ

デジタル大辞泉 「綾川」の意味・読み・例文・類語

あや‐がわ〔‐がは〕【綾川】

香川県中央部を流れる川。県最長の川で、長さ38キロ。讃岐さぬき山脈最高峰の竜王山北麓に源を発して北流し、坂出さかいで市で瀬戸内海に注ぐ。上流の綾歌あやうた郡綾川町に長柄ながらダム、下流の坂出市に府中ダムがあり、治水・灌漑かんがい工業用水などとして利用されている。

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日本歴史地名大系 「綾川」の解説

綾川
あやがわ

二級河川綾川水系の本流。香川郡塩江しおのえ安原下の戸石やすはらしものといしに源を発し、綾歌あやうた綾上あやかみ町で田万たま川・堂谷どうだに川・梶羽かじわ川、同郡綾南りようなん町でとみ川などを合せ、坂出市をほぼ北西流して瀬戸内海に注ぐ。指定延長三八・二一三キロ、流域面積一三〇・三平方キロ。阿野川とも書かれ、地域名称として北条ほうじよう川・たき川・加茂かも川などともよばれた。坂出市府中ふちゆう町では古代の讃岐国府近くを流れるためその名が都に聞え、藤原孝善は「霜晴れぬ綾の川辺に鳴く千鳥声にや友の行方を知る」と詠み(後拾遺集)、以後歌の名所となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「綾川」の意味・わかりやすい解説

綾川[町] (あやがわ)

香川県中央部,綾歌(あやうた)郡の町。2006年3月綾上(あやかみ)町と綾南(りようなん)町が合体して成立した。人口2万4625(2010)。

綾川町中南部の旧町。綾歌郡所属。人口6507(2005)。讃岐山脈北麓,綾川上流域を占める。綾川とその支流の開析谷には水田が発達し,古くから上質米を産する米どころとして知られる。県農業協同組合種子センターがあり,県内の種もみ供給地となっている。近年は米作中心の農業からイチゴ,メロン,キュウリなどの蔬菜園芸,柿,栗などの果樹栽培,たけのこ栽培などの複合経営に移行している。猪尾(いのお)地区には四国最大の電力中継基地,四国電力讃岐変電所がある。綾川両岸の丘陵地には古墳が散在し,上流には奇岩と清流柏原渓谷アユ養殖と桜と紅葉の美しい長柄ダムがある。西部の高鉢山(512m)は桜の名所で,火口部には風穴がある。

綾川町北部の旧町。綾歌郡所属。人口1万9121(2005)。丘陵性の山地に囲まれ,北流する綾川沿いに平地が広がる。中央部を高松琴平電鉄琴平線,国道32号線(琴平街道)が横断し,高松市に接するため,近年は住宅地化が目だつ。中心集落の滝宮(たきのみや)は琴平街道の綾川の渡河点にあり,かつて阿波,東讃岐からの金刀比羅宮参詣客の宿場町として発展した。また滝宮天満宮鳥居前町でもある。基幹産業は農業で,米作や野菜栽培が盛ん。瓦,土管などの窯業手袋を主とする繊維や機械器具などの中小工場も立地する。陶(すえ)地区は7世紀から13世紀にかけての窯跡群が所在することで知られる。滝宮の念仏踊重要無形民俗文化財)は讃岐守でもあった菅原道真の雨乞いにはじまるといわれ,毎年8月25日に天満宮の社殿で奉納される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綾川」の意味・わかりやすい解説

綾川
あやがわ

宮崎県中部を東流する大淀川の支流,綾北川と綾南川の総称。両河川とも九州山地に源を発し,ほぼ平行して南東に流れる。国富町西方で合流して本庄川となり,宮崎市西部で大淀川に合流。上流地域は国有林でカシ,シイ,タブノキなどの照葉樹林が多く,木材は綾町に搬出。流域では県営の綾川総合開発事業が行なわれ,1958年綾南ダム,1959年古賀根橋ダム,1960年に綾北ダムが完成。発電に利用されるほか,西都市に及ぶ宮崎平野西部の洪積台地上の耕地に灌漑用水を送っている。

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世界大百科事典(旧版)内の綾川の言及

【大淀川】より

…対岸の砂浜に掘込み式の1万5000トンの船舶の出入りができる宮崎港が開港し,南九州の流通の一拠点をなしている。この川には九州電力の水力発電所(合計最大出力14.6万kW)(1997)があり,県営の岩瀬川総合開発事業(洪水予防,発電),綾川総合開発事業がある。綾川水系は綾北川,綾南川のダムで5.3万kWを発電(1997)し,洪水予防のほか灌漑用水として約2000haの田畑をうるおしている。…

※「綾川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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