総合支援資金(読み)ソウゴウシエンシキン

デジタル大辞泉 「総合支援資金」の意味・読み・例文・類語

そうごうしえん‐しきん〔ソウガフシヱン‐〕【総合支援資金】

減収失業等により日常生活維持が困難となった世帯対象に、生活の再建に必要な資金無利子または低利で貸し付ける制度厚生労働省が定め、都道府県社会福祉協議会が実施する、生活福祉資金貸付制度による貸付資金の一つ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「総合支援資金」の意味・わかりやすい解説

総合支援資金
そうごうしえんしきん

失業や収入減による生活困窮者に、生活再建までの生活費を貸し付ける制度。リーマン・ショックによる影響が甚大であった2009年(平成21)に、雇用保険と生活保護の間をつなぐ安全網として、自治体の生活福祉資金貸付制度(1955年創設)を再編して創設された。就労などが見込まれる低所得者が対象で、生活再建までの暮らしに必要な「生活支援費」、敷金礼金などの「住宅入居費」、債務整理、公共料金の立て替え、技能習得などのための「一時生活再建費」の3種類を貸し付ける。貸付上限は、生活支援費が単身世帯で月15万円、2人以上の世帯で月20万円、一時金である住宅入居費は40万円、一時生活再建費が60万円。生活支援費の貸付期間は原則3か月で、三度の延長が可能(最長12か月)。返済猶予期間は最長6か月で、猶予期間終了後10年以内に返済すればよい。原則として連帯保証人が必要で、保証人のいる場合は無利子で貸し付け、いない場合は年1.5%の利息がかかる。都道府県社会福祉協議会に申請する。原資は原則、国が3分の2、都道府県が3分の1を拠出する。

 1995年(平成7)の阪神・淡路大震災以降、豪雨火山噴火など大規模自然災害時には、生活福祉資金貸付制度の特例として貸付条件が緩和されてきた。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)が流行した2020年(令和2)3月には、総合支援資金の特例として、新型コロナウイルス感染症の流行拡大による失業者のほか、収入が減少した人を対象に、所得に関係なく、保証人不要で無利子で貸し付け、返済猶予期間を最長1年に延長した。返済期限がきても、所得減少が続く住民税非課税世帯の場合、返済自体が免除される。申請受付期間は当初、2021年3月末までだったが、新型コロナウイルス感染症の流行が収束しないため、2022年3月末、さらには同9月末などと繰り返し延長されている。2022年8月20日時点の貸付額は1兆1163億円。

[矢野 武 2022年10月20日]

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